第6話

「やってしまった……」


 俺は自室のベッドに横たわり、今日の行いを後悔した。

 このままではあの何でも部とやらに入る流れになるのではないか。

 いやもうなっている。

 俺は別にあの部活に入りたかった訳ではない。だが部活は明日までに決めなければならない。もうここまで成り行きで関わってしまった以上このまま入部するしかないのではないか。

 しかも俺は依頼の解決に繋がりそうな案を思いついたことをことを高らかに宣言した。


 よくよく考えれば何でも部は俺にとってそれほど悪い部活でも無いと自分に言い聞かせるように思い返した。

 何でも部と名乗ってはいるから何でも屋を意識したネーミングなことは分かるが活動内容はメジャーな部活に分類するならボランティア部が近い。

 ボランティア部は募金活動や清掃活動を主に行う部活だがそういうことはやっていないのだろう。おそらくは今日のように生徒から依頼され、その解決に動くことが主。


 俺のことを不本意に部屋に押し込められた人と思ってあの態度だったのかもしれないが神下は俺が来てからもしばらくは読書していた。

 これはそういうことが許されている緩めの部だという証左だろう。今回はともかく、次からは俺も依頼者が来ても適当な態度で居たい。


 外堀を自分で埋めてしまった気はするが、ここまで部活選びをサボっていたツケが回ってきたと思い、俺は観念して例の案を実行するためにノートPCを開く。


 正直この案は100%の成功への確証は無い。

 だがその成功例はまさに今日の俺だった。


 スマホとPCの同時並行で器用に作業を開始する。

 Twitterを開く。


 最近の高校生は入学前からTwitterで繋がることで入学後の人間関係を先行して構築するらしい。俺は入学後にそのことを知ったがクラスを見る限りそれが人間関係を作る全てというわけではない。

 だが、そのおかげもあってか出るわ出るわ萬高校生を名乗るアカウント。


 俺はついさっき作ったアカウントで彼らを片っ端からフォローする。

 流石に鍵を掛けているアカウントも多いし、ツイート数が少ないアカウントも多かった。そういうのは1年生とは断定出来ないがそれもお構い無くフォローする。

 フォロー制限を回避するために諸々の機能を使う。誰かにフォローを返されたかと思えば、ブロックしてきた者もいる。

 だがとにかくこのアカウントを人目に晒す。


 結果は明日の放課後になれば分かるだろう。


 人事を尽くして天命を待つ。

 この下手に数だけ撃った鉄砲が当たってくれたことを祈るしかない。

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