蟹座の玉三郎(140字小説)

塩塩塩

蟹座の玉三郎

男は七月初旬に生まれた蟹座である。

蟹座は当然横歩きをするのだが、左右を確認せずに歩くと危険である。

よって、物心がつく頃には横をチラリと見て歩く事を心得た。

その目つきは所謂いわゆる流し目であるから、蟹座でなくともご婦人方は泡を吹いて喜んだ。

男に会えぬ晩、ご婦人方は男を想い蟹蒲カニカマを食べるのだ。

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