第55話 唐突な終わり

「あれからどうしていたんですか?」

 私は居ても立っても居られず、奥の店員さんに訪ねました。お店が休店になってから、一体どうしていたのでしょう。当然な疑問だと思います。

 その問いに、奥の店員さんは頭をかきながら答えてくれました。

「いやお恥ずかしい事なんですが、ウチの石原のツケや借金がアチコチで発覚しまして。それの対応に追われていました」

 それは……御愁傷様としか。


「で、そのお金の問題をほったらかしにして、当人は行方不明。このお店はその石原の親戚が持っている物件でして。そこで、この物件を別な人に貸して収入を得て、お金の返済に充てるそうです」

 え? と言う事はつまり?

「そんな訳で、コーヒースタンドの機材を引き払ってここを明け渡して、私は地元へ帰ります。お世話になりました。ありがとうございます」

 そう言って、奥の店員さんは深々と頭を下げました。


 私は突然の言葉に言葉を失い、ポカンと立ちすくんでしまいました。

 そんな私を横目に、お店の奥からドリッパーやミルなどのコーヒー機材をダンボールに入れて、軽トラックに次々と載せて行きます。


 え? 待って? 本当にこれで終わり?

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