幕間

✕✕の手記



能歴342年 4月9日



 僕がこの施設で働くことを決めてから、もう10年になる。

 研究は滞りなく進んでいる。革命的な新薬の試作が試験体に投与されるのもそう遠くない未来である。

 先天的な才能を無理矢理に引き出し増強させる薬だ。少々体の負担が大きく、死者も出ることがあるが、これがあれば研究所の戦力は著しい成長を遂げるだろう。



 そう言えば、唯一無二の親友だったあの子は今、どこでなにをしているのだろう。その子の日常を想像するだけで頬が緩む。

 楽しく過ごしていて欲しい。そう思うのは親友として当たり前のことだろう?











 でも、僕は。





 その楽しい日常をどうしてもめちゃくちゃにしてやりたいと、常日頃から思うんだ。



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