おかえり
実家の引戸を開け、縁側に出ようとしたところ、陸上男子100メートル世界記録保持者の瞬間最大時速よりも速いスピードで、我が家に侵入してきた黒い塊があった。
その後、そいつは居間にぴたりと止まり、人の顔を見て、しきりにニャーニャー鳴き始めたのだ。
矢庭に姿を現した黒い塊は、震災発生から今まで、ずっと姿を消していた我が家のデブ猫――もとい、黒猫のピースケだった。一週間ぶりに姿を見せたそいつは、己が無事でも伝えているように、何度も何度も大きな声で自己主張をしていた。
「あんた、ピースケどこに居たの! もう、心配したんだからー!」
おそらく、どこの一般家庭にもあるだろう、『猫に話しかける母親』の図が、我が家にも戻ってきた。これで家族全員の無事が、改めて確認できたのだ。
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・災害時のポイント14
人間より動物のほうが よほど強く生きる
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