依然として水は出ないので、いつもどおり川へ水を汲みに行った。二日前よりは、水流が綺麗になっているが、それでも濁った川に変わりなかった。


 ――そんな水不足の折、顔見知りのご近所さんが、以前使っていた井戸から水を引っ張り、自宅に面する通りにホースを伸ばし、水汲み場を作ってくれたのだ。

 しかも無料で開放し、のみならず、夜でも使用できるようにと、センサー式のライトまで設置してくれた。


『これは井戸水です! 飲料水として使えますが、使用は自己責任で!』


 という注意書きもセットで。

 噛み砕くと、


『一応飲めっけど、日持ちしねえから腹壊しても知んねーぞ? 沸かして使えよ』


 という意味である。

 これは貴重な水源である。火を通す料理であれば問題なく使えるし、近隣住民の誰もが感謝した。


 けれど悲しいかな――は、どこにでも居るものだ。

 ポリタンクを何缶も持ってきて、後ろに行列ができているのにも係わらず、ひとり水場を占領する、厚顔無恥なが……。


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――


・災害時のポイント13

 被災地は助け合いが大前提 手前てめえだけ助かろうとすんな

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