第2話 覗きダメ!絶対ダメ!

 こんにちは。私の名前はセレスティア・ラル・シャンデール。

 どこにでもいる(?)転生した悪役予定令嬢(0歳)です。

 脳の活動できる範囲が小さくなったせいなのか前世の事はよく思い出せません。

 兄(4歳)にミルクをとられ、大人げもなくガチギレした途端朧気に前世の記憶を思い出しました。    

 ついでに人類通り越して生物最強の力も手に入れてます。


 ――が。


 何度もいいますが0歳です。

 動けません。しゃべれません。常に睡魔との闘いです。

 特にやれることもないので寝ようと思います。


「よい子よ、眠れ私の可愛いセレスティア~」


 父であり聖王国国王金髪長髪イケメンが慣れた手つきで私を抱っこしながら子守歌を歌ってくれます。

 抱きなれているという事は子育てに参加するタイプなのでしょう。

 ゲーム上では確か善政をおこない国民に愛されるタイプの王だった設定だった気がするので、いい人っぽいです。


 私を見つめる目はとても優しく、これが前世だったら金髪イケメンで美人妻と子供とかリア充爆発しろ!と、悪態をついていたに違いありません。


 ですが私はそのリア充の娘らしいので大人しく甘えておきます。


「この子は全然泣かないから心配だわ」


 母がベッドに寝たまま言いました。産後の肥立ちがよくないとかで、母はベッドから起き上がれないようです。

 長い銀髪のほっそりとしたとても美人さんです。


「大丈夫だよ、子供だって個性があるんだから。

 あまり泣かないのもこの子の個性だよ。

 神官達が身体に異常はないといっていたんだ、君は心配しないで自分の体力を回復させることに専念して」


 と、父は私を抱いたまま母とキスをします。

 そこからイチャイチャモードに突入……。


 前言撤回――リア充爆発しろ。


 まぁ、それはいいでしょう。

 問題は――。


 誰かがこちらを視ている事です。

 ドアのカギ穴から誰かが覗いてる。

 タンスに隠れて覗いてる。

 窓の外から覗いてる。


 ……などそんなレベルではなく、魔力でこちらを監視している者がいます。

 

 おそらく魔力の波長から――これは魔族。

 しかも複数です。


 ゲームではセレスティアが10歳の時に国は亡ぶはずでしたが、10年も前から魔族にこの国は狙われていたのでしょうか?

 監視されているのかもしれません。


 私をベビー用ベッドに寝せて、いちゃつきだした両親を見て、私は思う。



 覗きダメ!絶対ダメ!!!



 私の放った魔力は覗き見をしていた魔族を一瞬で滅ぼしました。


 ふぅ、これで父と母のプライバシーは守られた。

 私以外には。


「好きですよ。シャティル」


「私もだよレイテーゼ」


 見つめあって寄り添う二人。


 ……。


 リア充爆発しろ。


 ……私も寝よう。おやすみなさい。

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