僕はボールペンで書きたいの!!!

アイスティー・ポン太

第1話 ペンは鉛筆よりも強し

 ヤマモト先生はヒシガタ小学校の教師です。今年は4年3組の担任をしています。

 ヤマモト先生はヒロシ君を呼び出しました。


「ヒロシくん、学校では『ボールペン』ではなく『鉛筆』を使わなきゃダメなんだよ。わかる?」

「わからん。ボクは鉛筆嫌いなんや。鉛筆でなんか書くとき、なんでか知らんけど鳥肌が立って気持ち悪いんや。ボールペンやったら全然気持ち悪くならん。」


 ヤマモト先生は困ってしまいました。なぜならヒロシ君の「鉛筆を使うと気持ち悪くなる」という気持ちは否定できない一方、学校では鉛筆を使うルールに従わなくてはならないからです。


 そこでヤマモト先生は考えました。


「わかった。そしたらヒロシくん、ちょっとボールペン貸してくれるかな」

「うん」


 そう言ってヤマモト先生はヒロシ君のボールペンを茶色の紙で巻きました。


「こうしたら、遠くから見ると鉛筆っぽく見えるんじゃない?」

「いや、先生、全然鉛筆に見えんよ。」

「いいんだよ。学校にいる間はペンをこの紙で巻いて使ってね。」

「先生の意味分からんが、ええよ」


 それからヒロシ君は茶色い紙で巻いたボールペンを卒業まで使い続けました。中学校からは普通にそのままのボールペンを使い続けました。

 あれから大人になったヒロシ君は「あのとき、先生も先生なりに僕のことを考えてくれていたのかもしれんぁ」とぼんやりと思いだすのでした。

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