09.自作長編小説二作目における「挑戦」前半戦

 前作『深海シティ4cb8e7』の目標と言えば「完結させること」くらいでしょうか。

 随分前から温めていたネタでもあり、もう書くのが楽しくて仕方なかった……。


 前作『深海シティ4cb8e7』はお気に入りの作品で、そしていましめの代表作であることは間違いありません。

 しかァし! 今思えば! 無邪気すぎた!!

 前述したとおり、カクヨム作品1500・3000作品を読んだことで、私は『深海シティ4cb8e7』に多くの改善点があることに気付いてしまいました。

 その気づきを経て執筆したのが、自作長編小説二作目にあたる『パーティー・ピンク・ポッパー』になります。

 『パーティー・ピンク・ポッパー』執筆において、私は10項の挑戦をいたしましたので、もしよかったらその挑戦と結果を御覧ください。

 前項と重複していく部分が多々あると思いますが、そこはご愛嬌ということで……。


 ※以後、『深海シティ4cb8e7』を『深海シティ』、『パーティー・ピンク・ポッパー』を『パピポ』と表記します


 * * *


<<10項の挑戦/前半戦>>

 ※スミレ=パピポの主人公

 ※環(たまき)=スミレの好きな人です。百合です。

 ※逢子(ほうこ)=スミレの敵。百合です。


【01】挑戦内容:10万字前後で完結させる

 →結果:OK

 長編の公募の規定が10〜12万字が多いので、一応それを目安にこの文字数を設定しました。

 それ故、『パピポ』で環が小学生の頃に誘拐監禁されるシーンは全カットになりましたが……。文字数が、足りない。他にも「スミレと環の出会い」のシーン、前編終了後の「監禁後、逢子との対話」「環と七戸(環の婚約者になる男)」のシーン、高校卒業後「疎遠になっていく環とスミレ」などなど、色々描きたいシーンはありましたが、全てカットしました。

 カットした分、会話などで補填したつもりでしたが、物語の密度が安定していないなどのご指摘を受けました。まさしくその通り……。

 まだまだ精進しなければなりませんね。ですが、今の私の最善でありますッ!!


【02】挑戦内容:毎日投稿(完結まで毎日)

 →結果:OK


【03】挑戦内容:半分まで書き上げてから投稿

 →結果:OK

 毎日投稿のため、というのもありますが、物語に整合成と厚みを持たせるために前編を仕上げてから投稿しました。

 この仕上げる、というのはカクヨムの下書きに投稿済み=正書済みという状態で、プロット自体は完結している状態です。(私の場合プロットが先にないと書けないタイプなので……)

  前作『深海シティ』の場合、プロットはできていましたが、正書は7話までしかない状態で公開を開始していました(確か)。なので、後から細かいところに色々手を加えてましたね……。今回の場合は誤字脱字を除く修正は一回のみ。プロローグの表示部分の変更のみです。この「半分まで書き上げてから投稿」作戦は成功したと言って良いでしょう。


【04】挑戦内容:序盤で物語を動かす

 →結果:OK

 前作『深海シティ』の反省点の一つ。

 

 前作『深海シティ4cb8e7』では無邪気に時系列を並べて書いていましたが、パピポでは、特に伝えいたいテーマ・インパクトを決めてから書きました。

 今作『パーティー・ピンク・ポッパー』の場合、

 結果的に時系列順になるようにしましたが、物語を早く動かすために、主人公がヒロインに惚れるまでの部分を全カットし、かつ強烈な想いがあることは伝わるようにしてみました。

 私の場合、投稿前に既に物語はいったん完結させ(完結と行っても詳細なプロットくらいの粒度ですが)、前半の清書を終えておりました。※筆者はガッチガチのプロット構成タイプです

 始めは時系列順に主人公とヒロインの出会いから恋に落ちる、敵が出るまでまるまる一章(1.5万字くらい)使っていましたが、ために全カット。心をこめて書いたので少し悲しかったですが、 試行錯誤の成果が少しは出たかな……と個人的に分析しています。

 最初からその構成を考えてかければベストですが、一回時系列にだらだらと書いてから、切ったり貼ったりして物語の全体を見て編集する、というのもアリだと思いました。結果的にその方が伏線回収を含めきれいな物語になった気がします。(当社比)

 5話くらいまで読んでくれた方は、そのまま追い、かけてくれる方が今回は比較的に多かったように思います。(当社比)


 <具体的には以下の通り>

 1話:監禁三日目の描写

 →主人公が監禁する!というインパクト、そしてこの物語でキーであるイベントを指し示しました

 2話・3話:主人公と相手の強い関係性を示唆。主人公が強く相手に依存していることを示唆。&敵を登場させる、敵への攻撃心を表す

 →監禁への片鱗、主人公の個性を示すことに着目

 4話:キャラクターの個性を示す話(相手、敵)

 5話:キャラクターの個性を示す話(関係性に焦点)

 という感じです。

 全体的にテンポを重視し、すぐに敵排除のため主人公が行動を始めるので、なぜ主人公はそこまで敵視するのかが伝わるように、特に敵が”敵”である描写を心がけました。


【05】挑戦内容:登場人物に個性を持たせる

 →結果:OK

 これ、『深海シティ』の一番の反省点でした。物語・ストーリーを重視しすぎたせいで、主人公・ヒロインが没個性気味になっていたのです。脇役の方が個性が光ってた気がする。『パピポ』もストーリーありきの物語ですが、執筆時はストーリー以上に、登場人物の個性をものすごく意識して書きました。

 ジャンルが「恋愛」というのもあり、没個性な主人公が没個性なヒロインに惚れたところで面白くなさそうですし……。その結果かなり歪んだキャラクターになってしまいましたが。

 そして今回ぶち当たった壁は、「そもそも個性って何?」です。

 この解答を得るために、カクヨムで展開されているエッセイも色々読みましたし、商業小説や漫画などもたくさん読みました。


 提示された解の一つに「キャラクターに百の質問をする」というのがあり、それも魅力的でしたね。私も挑戦してみましたが、この手法は私には向きませんでした。なぜなら、私のキャラクターは脳内で勝手に動いたりしないからです。

 なので、いくらキャラクターに質問をしても、それはキャラクターになりきった「私」でしかありませんでした。


 そこで私が考えた手法は、キャラクターの「良い所」と「悪い所」を同時に考える、というものです。

 キャラクターの好きなものや趣味は割と簡単にできます。でも、それはキャラクターの装飾品の一つに過ぎませんでした。

 

 『深海シティ』にはreportというプロフィールを記載するページがあるのですが、そのなんと薄っぺらいことか。このreportを見て、彼らの個性を全く表現できていなかったことに気づいたのです。

 reportの本来の意味はキャラクターの紹介ではなく、開示された「情報」の整理とはいえ、これはひどい。前作『深海シティ』主人公・ハヤトのプロフィール、「名前」「属性(SFなので、ホムンクルスとか出ます)」「年齢、誕生日」「職業」「髪型」「好物」のみ。何っだこれ! Twitterでやれ! と言う感じ。

 ここで書くのは割愛しますが、彼はこんな薄っぺらい男ではありません……、ええ、ありませんとも! こんなのただの設定資料です。

 では翻って、『パピポ』の主人公・スミレはどうでしょう。『パピポ』ではreportのページはありませんが、執筆用に似たようなメモがあります。一部抜粋しますのでご覧ください。


 ・榛純恋(ハシバミ スミレ)/女

 ・学生マンションに住んでいる(208号室)

 ・好きなもの

 目:xxx

 口:xxx

 耳:xxx

 鼻:硝煙の香り

 ・決断するのが苦手。優柔不断

  →ルーティーンがあると落ち着く

  →→一度決めたら曲げない、いざという時は思い切りがある

 (敵と認識したら敵! 身内と認識したら身内!)

 ・考えてから話すタイプ

  →話すのが遅い。計画的な女

  →→相手を慮った言動ができる。比較的言葉使いがきれい

 ・ネガティブ

  →私なんて……というタイプ(過去、友人ができたことがないため)

  →→スミレを肯定し、受け入れ、素敵な言葉に置き換える環が好きになる。環のモノの見方が好き(week point)

 ・読書が好き

  →地の文に本の情報を埋め込む。本で知ったことを大切にする

  ※スミレのアイデンティティの一つとして扱う。「記号」にしない!

 ・割と素直

  →身内の助言には耳を傾け、従順

 ・無個性な自分が嫌い

  <なぜ?>無個性な人間はつまらないと思っている

 ・海が嫌い

  <なぜ?>→汚い、怖い


 ……という感じですかね。

 もちろん、スミレが決まって環が決まった部分もありますし、逢子が決まってスミレが決まった部分もあります。


 ■スミレ→環が決まった部分

 ・ネガティブ(スミレの設定)

  *いつも自信に満ち溢れているように見える

  *ネガティブな言葉も素敵な言葉に置き換える

   →けれどそこはかとない仄暗さを感じたい

  *快活

  *自己肯定感高め

   →あえてそうするようにしてきた


 ・無個性な自分が嫌い(スミレの設定)

  *誰もが個性的であると思っている

   →みんな違ってみんな良いを地で行く


 ■スミレ逢子が決まった部分

 ・考えてから話すタイプ(スミレの設定)

  *直情的

  *体当たり、一直線

   →優柔不断、勝負をしないスミレがイラつく


 ……こんな感じで、キャラクターごとに結構細かくメモっています。


 〜〜が好き、で終わらないように、「好きなのか」「物語に活かすのか」「どんな欠点/美点があるのか」「自己認識と他者とのギャップ(どう見られているか)」を意識しました。

 どうでしょう。前よりは人間味があるような気がします。良いところもあれば、悪いところや欠点もある。

 その欠点やギャップこそ、キャラクターに愛着を持つポイントなのかな〜と思ったり。良い人すぎる人はつまらない、というヤツですかね。






 長くなったので、06以降は次のページに書きます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る