第6話 始まりの街(中編)

 門番に驚かれながらも、俺達は無事に街に入ることができていた。


 ただ、すぐに中央広場に向かう事を条件に。


 なぜその条件が付くのかわからないが、ロキとルキの身元を詮索されなかった事で了解する。


「ゆーしゃ、ワガナワ? これからどうするの?」


 ロキが不思議そうに見上げている。どこかただならない雰囲気を察しているのかもしれない。だが、それよりも好奇心が上回っているようだった。


「二人はどうしたい?」

「かいもの!」


 一応、すぐに中央広場に向かわなければならない。ただ、二人に満足してもらわなければならない以上、この場合は二人の意見を尊重する。そして、間髪入れずに答えていたルキの元気な声もまた、無視できない要素と言えるだろう。


「かいものだね!」

「かいもの!」


 それに合わせたのだろう。ロキが同じく宣言すると、さらにルキがさらに重ねる。何ともほほえましい光景に、思わず笑みがこぼれていた。


「じゃあ、知り合いの店に行こう。といっても、気に入るものがあるかわからないぞ?」


 両手で二人と手をつなぎ、知り合いの道具屋へと足を向ける。そこは懇意にしていた店だから、買い物情報を仕入れるのにもちょうどいい。


――そもそも俺が知っている店は、せいぜい武器屋と防具屋と宿屋くらいだし……。


 改めて考えると、俺はこの街の事をほとんど知らない。自力で二人を案内する事ができない以上、もうあの男に聞くしかない。


 そう思いながら、人で賑わう大通りを抜けて目当ての店まで歩く事十数分。


 猫屋という雑貨屋の前には、多くの猫が集まっていた。

 

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