君のいない街

神無月 皐月

君のいない街

言葉遊びをするように

見えないものが僕を動かしていく

目に見えないけど存在する

君は一体誰なんだ?

僕はそっと手を伸ばす


脚を抱えたあの日

深く沈んだその身体に

浮かんで来るのは涙だった

相反する現実に

理想はどこかと世界を泳いだ


なにを間違ったの?

どうするべきだったの?

見えない君に問いかける

それでも君は微笑を浮かべ

そこから消えていく


一人残され無色の僕は

動く足を止める


世の中に弄ばれるように

月日は無残に動いてく

形あるものがそこにある

まだ誰かは分からない

月の眩しさに目を伏せる


輝きを失った月

自分はお前が羨ましい

そう太陽に言葉を放つ

凛と照らす光と

それを貰う自分と

悲しい解が自分の中に弾き出される


なにを間違ったの?

どうするべきだったの?

解を君に問いかける

君は問直せよと

そっぽを向く


言葉の意味を

僕はただただ探す


どこにいたって

何をしたって

僕より何でも器用にこなして

それなのに君はどうしてこの場にいない?


神様は公平だ

世界は残酷だ

持っていない僕が

なんで君じゃないんだ

もう何が何だか分からない

君はもういないのに

アイツならと比べられる


どうして僕が君で

君が僕じゃなかったの?



何よりも大切で

誰よりも大好きで

同じくらい嫌いで

やっぱり君のいない街は

いつまでも僕を苦しめる



君と僕の存在する世界が重なることを夢見て











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君のいない街 神無月 皐月 @May0531

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