第陸話 森のクマさんに出会っちゃいました

 恐怖より、ダメ神への怒りが勝ってしまった私であったが、ターブルロンドという都市があるシュペルブ王国を目指して、まずはこの森の出口に向かって歩き始めることにした。


「疲れたぁ。ハァハァ ここら辺で少し休憩しよう。」


 しばらく歩いていたのがこの森、所々険しいとこ多すぎる。

 四歳児には絶対に無理だ。というか大人でも絶対無理だろう。

 こんな森を通ろうと思う人は、いないだろうから人の手が加えられてないので、整備されてないから急な斜面をかけ下りたりした。

 まぁ、四歳児である斜面をかけ下りるのに足の踏ん張りがきくわけがありません。

 かけ下りたといいましたが、そうですよ。ほとんど転がり落ちましたよ。


 疲れたと言っているだけで、なぜ無事なのかって、それは傷一つ負わない究極身体アルティメットボディーだからですよ。はい。

 でも、転がり落ちてばかりで、かなり目が回りました。


 ヴィーナが言うには、ここから先は平坦な道らしいので、只今休憩中です。


「!!」


 視界から見える木々が動いて、ガサガサって、音がしたのですが何かいるのでしょうかね。

 風であってほしかったのですが、そうは問屋が卸さないようです。

 突然、茂みから大きな影が……そしてうなり声が


「グガァァァッ ウゥゥッ ガァァッ グウゥッ」


 真っ赤な毛に被われた熊っぽい感じの魔獣?が現れた。

 私の知る熊の三倍くらいの大きさです。

 今にも襲いかかってきそうなのですが、驚いて腰が抜けて動けないのです。


 えぇ何、襲われそうなのに何でそんなに冷静なのかって、それは私には、究極身体アルティメットボディーと絶対防御があるから襲われて、攻撃されても死ぬことも怪我することもないからです。

 ただ、襲われる恐怖はあるので、冷静を装おっているだけで、怖いですし、かなりビビってます。


「ガサガサ ガサガサガサァ」


「!!」

 後ろの方の茂みが揺れる音がまたしました。

 もう一頭いるのでしょうか。挟み撃ちか!! 何やら叫び声がします。


「は#く?#げろ~、な@$\+&だぁ~」

 動物や魔獣の声じゃないみたいです。何と言っているかはわかりませんが、所々、聞き取れるので、人が何やら叫んでいるようです。


「グガァァァッ ウゥゥッ ガァァッ グウゥッ グガァァァッ ウゥゥッ ガァァッ グウゥッ」

 熊っぽい魔獣?が襲いかかってきました。


「ドドドカ~ン」

 魔獣が目の前まで迫り、右腕の爪で私を攻撃しようとした瞬間、魔獣?の顔に火の玉が直撃しました。


「グガァァァッ ウゥゥッ ガァァッ グウゥッ グガァァァッ ウゥゥッ ガァァッ グウゥッグガァァァッ ウゥゥッ ガァァッ グウゥッ グガァァァッ ウゥゥッ ガァァッ グウゥッ……」

「ドォドドドタン」


 魔獣は突然の攻撃にすごく痛がっている隙をつき、男が魔獣に向かっていって、首を剣で切り伏せ魔獣?は悲鳴も上げることもできず絶命した。

 そして、男は振り返り私に近づいてきて、怒りのこもった声で私に問いかけてきた。


「何で、襲われそうになっているのに、しかも俺が早く逃げろと叫んだのに逃げなかったんだぁ。」


「驚いて、腰が抜けてしまって、逃げ出せなかったんです。あと誰かが何かを叫んでいるのは気づいたけど、何を言っているのか全然、聞き取れなかったんですよ。仕方ないじゃないですか。」

「もし、私が逃げ出してたとしも、私は子供なので、すぐに追いつかれて殺られてましたよ。きっと。」


 私は、男からのなぜ逃げなかったのかという問いに隠す事でもないので、逃げれなかった理由を正直に答えた。

 そして、スキルがあるので私は、魔獣に殺される事はないだろう。

 なので一般的に考えて、子供が魔獣に襲われそうになり、その場から逃げ出したとしても助かる可能性はかなり低いであろうから逃げれていても意味がなかったということを伝えた。

 助けてもらったからと言って、初対面の人に自分のスキルを話すのは、デメリットしかないからである。

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