エリコちゃんへ

鳳珠

第1話

 エリコちゃんに謝らないといけないことがあります。

 私は、エリコちゃんがずっと片想いしてたシュンくんと付き合うことになりました。


 エリコちゃんが片想いしてたのは知ってます。シュンくんと一緒によくご飯行ってたことも知ってるし、よく2人でホテルに行ってセックスしてたことも知ってます。全部シュンくんが話してくれました。


 私とシュンくんが仲良くするようになったきっかけは、私とエリコちゃんとシュンくんの3人でご飯を食べに行った時です。シュンくんの車で学校帰りにオムライス食べに行った日のこと覚えてるかな?

 エリコちゃんを先に家まで送ってから、私の家に着くまでの道中で、ぽつりぽつりとエリコちゃんの愚痴を話してくれました。

 エリコちゃんに会いたいと言われて会いに行ってもエリコちゃんはだんまりですごく困ること、構ってくれず寂しいからと腕に刻むリストカットの跡について理解できないこと、などなど他にもいっぱいありました。

 私とシュンくんの2人になった時、「連絡先交換しないでね!」って言ってたよね。けどシュンくんが私に、もっと相談に乗って欲しいから、って連絡先交換しちゃったの。ごめんね。

 それから私たちは、何度か2人でご飯を食べに行くようになって、たまに一緒に遊びに行くようになって、それからしばらくするうちに付き合うことになりました。私は元彼と別れてあまり日が経ってないから申し訳ないって言ったけれど、シュンくんは「時間をかけて忘れてくれればいいよ」って言ってくれました。

 友達なのに、エリコちゃんの気持ちを知ってるのに本当にごめんね。

 けどね、エリコちゃんも悪いんだよ。

 私が元彼…ユイトと別れた理由知ってるよね?


 寝取られたんだよね。

 エリコちゃんに。


 私知ってたんだよ。

 授業中ずっと目配せして微笑みあってたでしょ?

 学校帰り、ユイトと手を繋いで帰ってたんでしょ?

 校舎の人気のないところでキスしてたでしょ?

 帰り道の途中にある公衆トイレでセックスしてたでしょ?

 知ってるよ。

 全部知ってるよ。

 初めのうちはすごくびっくりしたよ。悲しくて、胸の奥から冷たい何かが溢れ出るような感じがして、涙が止まらなかった。

 それも束の間、今となってはもうなんだか何も思わなくなったんだよね。「心底呆れる」って、こういうことなんだね。


 どうせシュンくんが本命、ユイトくんは身体だけの関係って感じだったんでしょ?

 シュンくんにすごく執着してたもんね〜側から見ててすごく伝わってきてたよ。本当に浅はかだね。


 だからね、私もエリコちゃんから取ろうと思ったの。

 シュンくんと初めてセックスした時、なんだかこれまでの気持ちが満たされて、身体も心もすごく気持ち良かった。どくどくとした快感が押し寄せて何回も絶頂しちゃった。同時に、私と繋がった快感に顔を歪めるシュンくんがとても愛おしかった。もうあの一度限りの気持ちよさは味わえないだろうなあ。


 シュンくんと私を引き寄せるきっかけを作ってくれて本当にありがとう。



 ねえ、エリコちゃん。最後に聞かせてください。

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