過去

私は刑務所を出たあと、比較的真面目に働いた。

とはいっても、世間一般の異端者を受け入れてくれる職場は少なく、しばらく探して疲れて、また誰か殺して刑務所に入ろうかと考え始めた頃に、なんとか高架下の不動産に雇ってもらえた。

何故、北海道を目指したのだろう。とふと考えることがあるが、良く覚えていないし、今さら関係ないから詮索早めようと思った。

私はどうしてこんな目に遭ったのか。

どうして私だけ。と、小さい頃は思っていたがそれは世界が狭くて、そう見えていただけだった。

私よりひどいことをされた人たちもいる。死んだ人だって。

結局、自分は誰かのドラマの脇役で、自分の作るドラマの主人公なのだ。

悲惨や幸福、感動や絶望のドラマは、色んな人が撮影している。

気付いてないだけで、周りも苦しんでいる。

夜の高架下で、自販機の暖かいコーヒーを飲みながら思う。

この世界はくそくらいでいいのかもしれない、と。

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鬱日記帳 つきみなも @nekodaruma0218

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