16.第三次選抜への切符

 二月二十五日。第二次選抜の成績が発表される日である。


 中3生の半数は第一次選抜で受験を終えているため、結果を待っている人数は減っている。また、進学先の高校もすでに決定しているため、多くの受験生にとっては特別な日ではない。




 特別な日だと思っている者。


 それは『雪』クラスを目指す受験生たちだ。


 第二次選抜を通過し、最終試験である第三次選抜に進むことができた場合、政府が決めた最上位の『雪』クラスになることができる。


 第三次選抜へ進めるかどうかは、第一次選抜と第二次選抜の合計点で判断される。


 第一次選抜は850点満点。


 第二次選抜は200点満点。


 合計1050点満点で、受験生全員から見れば上位10%のみが第三次選抜への切符を手にすることができるのだ。




 ちなみに通知表の結果に基づいた「内申点」は、高校入試にのみ適用され、国家認定クラスには一切考慮されない。つまり、「高国」は高校入学を主目的とする場合と、国家認定クラス上位を主目的とする場合で対策が違ってくるということだ。


 高校入学であれば学校での成績にも力を入れる必要がある代わりに、第一次選抜まで学習しておけばよい。


 国家認定クラスは学校での成績は関係ないが、小論文、面接、さらには第三次選抜まで対応策を練っておく必要がある。




 第三次選抜を目指す、川口アンジュ、神保ヒロト、習志野ケイスケ、前橋タク、芝原スズカ。


 彼らの第二次選抜結果を追っていく。




 川口アンジュ。


 第一次選抜

 国語 90点

 数学 100点

 社会 100点

 理科 94点

 英語 95点

 リスニング 48点

 常識 96点

 音楽 95点

 体育 90点

 合計点 808点


 第二次選抜

 小論文 135点

 面接 40点

 合計点 175点

 第一次第二次合計 983点


 第三次選抜 可


 例年第三次選抜へ進むには870点は必要だと言われる中、圧倒的な点数である。これが全国模試2位の力。




 神保ヒロト。


 第一次選抜

 国語 69点

 数学 82点

 社会 66点

 理科 93点

 英語 89点

 リスニング 45点

 常識 90点

 音楽 96点

 美術 86点

 合計点 716点


 第二次選抜

 小論文 129点

 面接 33点

 合計点 162点

 第一次第二次合計 878点


 第三次選抜 可


 おそらく第三次選抜ギリギリのライン。本人も「ギリギリ『雪』」を望んでいるのである意味理想的かもしれない。




 習志野ケイスケ。


 第一次選抜

 国語 100点

 数学 98点

 社会 100点

 理科 100点

 英語 99点

 リスニング 48点

 常識 100点

 技術 98点

 家庭科 100点

 合計点 843点


 第二次選抜

 小論文 130点

 面接 28点

 合計点 158点


 第一次第二次合計 1001点


 第三次選抜 可


 第二次選抜では途中で寝てしまい、面接に呼ばれた瞬間に起きたらしい。寝ぼけたままの面接に、時間をロスした小論文。第二次選抜では得点が不振に終わったものの結果としては1000点越え。





 前橋タク。


 第一次選抜

 国語 64点

 数学 78点

 社会 90点

 理科 78点

 英語 82点

 リスニング 42点

 常識 88点

 技術 81点

 美術 91点

 合計点 694点


 第二次選抜

 小論文 144点

 面接 48点

 合計点 192点


 第一次第二次合計 886点


 第三次選抜 可


 小論文が得意なジャンルで躍進し、面接も持ち前の対策力により高得点をもぎ取った。そのおかげか第三次選抜に滑り込む。現在は流れもいい。




 芝原スズカ。


 第一次選抜

 国語 98点

 数学 88点

 社会 92点

 理科 97点

 英語 76点

 リスニング 38点

 常識 100点

 音楽 79点

 体育 82点

 合計点 750点


 第二次選抜

 小論文 127点

 面接 47点

 合計点 176点


 第一次第二次合計 926点


 第三次選抜 可


 英語でミスをしたり、常識で点差を稼げなかったりしつつも、着実に点を重ねていく。落ち込んでもすぐに立ち直るメンタルを持っているのが最大の武器かもしれない。




 ついに最終の第三次選抜が始まる。


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