アサシンは闇へと消える①

「グギャアアアアアアア.............」


人気の無い路地裏から悲鳴が聞こえた。


路地裏は、暗闇で奥までよく見えない。


その暗闇から、一人の男が出てくる。


「終わった?.08ゼロエイト。」


路地裏から出てきた男、NO.08ナンバーズゼロエイトに声を掛ける。


「終わったよ.05ゼロファイブ。後始末もね。」


「それはいいけど、もう少し静かに出来なかった?」


「ちょっとお仕置きしただけじゃないか。」


.08ゼロエイトと呼ばれた彼は、自分と同じく、フード付きのマントを深く被

り、黒色の服を着ていた。


それに、と.08ゼロエイトは続けた。


「防音の魔法は張ってるだろ?」


「それでも、僕たちは暗殺者なんだから、もう少し....」


「それより、明日だろ?、第1王子が即位するのは。」


僕たち、暗殺部隊『ナンバーズ』が雇われているこの国、ルイネス王国は国王交代という大きな節目を迎えていた。


「国王が変わったら、俺たちどうなるんだろう....。お役御免になるのかな?」


「それは無いんじゃないかな。罪人は、まだまだいるからね。」


僕たちナンバーズの仕事は、大罪人の処刑に暗殺、捜査などが主にあって、たまに国王の身辺警護もあった。


「僕はこの後、武器を取りに行くから、先に帰ってて。」


「分かった。お疲れー。」


そう言って、.08ゼロエイトと別れた。


_____________________________________



僕は、商業区のとある鍛冶屋の扉を叩いた。


「お邪魔しまーす。」


「ジン、おかえり。」


中には、青色の髪にアホ毛が目立つ女性が、カウンターで待っていた。


「エミリー。本名はやめてくれって言ったろ?」


「ごめん。」


エミリーの顔はいつにも増して眠そうだった。


「疲れているなら、寝てても良かったのに。」


エミリーは、首を横に振った。


「ジンに会いたかったから、平気。」


エミリーとは同い年で、よく『ナンバーズ』の武器防具を作ってもらっていた。


「ジン、これ。頼んでたやつ。」


そう言って、布で包まれた短剣を三つ、渡された。


「いつもありがとう。」


「大丈夫。ジンや、他のみんなの為ならいくらでも作る。」


それじゃあ、と店を出ようとすると、


「ジン。」


「何?」


「気を付けて。」


「うん。」


そうして、エミリーとは別れた。


_____________________________________



国王が変わって、数ヶ月がたったある日、ナンバーズに国王から、ある依頼が出された。


それは、『盗まれた宝剣を取り戻し、盗人を始末しろ。』とのことだったが、


「なあ、これどう思う.05ゼロファイブ。」


「どうって、ここは王国指定鍛冶師のヴィルさんの店だろ?」


渡された地図には、有名な鍛冶師のヴィルさんの店に印がついていた。


「盗人ってヴィルさんのことか?」


「それはあり得ないよ。」


すると、そこにナンバーズのリーダー、.01ゼロワンが眉間にしわを寄せてやって来た。


「側近に聞いてきた。」


「どうだった?」


「殺害対象は、ヴィルさんに間違いないそうだ。」


「「・・・」」


「それと、追加の条件が出された。」


「追加...?」


「あぁ。人員は一人で、とのことだ。」


僕は.08ゼロエイトと顔を見合わせる。


「どうする?」


「どうするもなにも、僕たちに拒否権は無いだろ?」


「けど、あきらかにおかしいぜ?」


「そうだな。これを受けたら、後々、何かしらの理由を付けられ殺されるかもしれん。」


「「「・・・・・・」」」


しばらく沈黙があった後、僕は決心した。


「僕が受ける。」


.05ゼロファイブ!」


「僕が、真実を見てくる。そして、この話が本当なら、ヴィルさんを説得してくるよ。」


死ぬのは怖くない。けど、無実の罪で人を殺すのは嫌だった。


「.....分かった。」


.01ゼロワン!」


「この依頼は、すべて.05ゼロファイブに任せる。」


「分かった。大丈夫さ、.08ゼロエイト。あの人はこんな事しない。それに、いざとなったら逃げるから、安心して。」


.05ゼロファイブ......」




僕は明日、何を見るのだろうか.....。

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