猫捨て

京丁椎

第1話 叔父の日記

 某年某月某日、叔父が息を引き取った。享年七十四歳。近頃の年寄りにしては短命だが、持病を持っていたのだから仕方がない。周囲には「まだ死んでたまるか」と言っていた叔父だったが、甥である私には「そろそろお迎えが来る」と弱音を吐いていた。そんな叔父が亡くなって遺品を整理していると、日曜大工の工具や材料、使い道がわからない道具がわんさかと出てきた。


「やれやれ、叔父さんは物を捨てられない人だったんだな」


 叔母や従姉妹はDIYに興味が無く、当然ながら工具や道具、そして材料の価値がわからない。そこで呼び出されたのが一族のはみ出し者である俺だ。デスクワークがメインのお堅い仕事の多い一族の中で唯一の機械関係の仕事に就く俺は叔父の道具処分をすることになった。金額的な報酬は無いが、使えるものが有れば煮るなり焼くなりしても良いと言われて引き受けた。


「結構重複してるからなぁ……」


 俺もDIYは嫌いではない。叔父と道具の貸し借りをするくらいに休日は庭の手入れや日曜大工、そしてそれらに使った工具や道具の手入れくらいはする。当然だがお互いに持っている工具はある。何個あっても良いものならとっておくが、邪魔になる物はネットオークションに出品して現金にしてしまう。使わずに物置に突っ込んでおくなら誰かが有効に使う方がよいと思う。


「おや、これは何だ?」


 収納ボックスの中に一冊のノートが入っていた。ノートには『平成〇年~』と書かれた下に『ネコ捨ての記録』と書かれてあった。


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