第9話 土竜VS土竜

 第9話 土竜VS土竜

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 さて、大変有意義な時間を過ごした俺は、地上付近に戻ってきました。

 ちなみに、


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 種族 土竜(モグラ)

 総合評価:小動物レベル

 スキル

 土竜下級 レベル4 exp1

 土竜中級 レベル1 exp31

 土竜上級 レベル1 exp31

 土竜特級 レベル1 exp31

 女神の加護 ーー

 最高神の興味 ーー

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【土竜下級】がレベル4まで一気にレベルアップ。

 やっぱり、10expごとにレベルアップってことでよかったらしい。


 そして【土竜中級】はレベルアップせず。

 この調子だと、いつになったら特級がレベルアップすのか……

 レベルMaxにしようと思ったら、気が遠くなるような時間掘り続けることになる。


 ま、土も勝手に消えてくれるし、こつこつ気楽にやりましょう。


 ビクッ!


 な、なんだこの感覚。

 何となく、不快だ。

 餌ではない……


 土の中に入って、感覚が異常に鋭くなった。

 これは便利だ。

 餌がいたら匂いだけでなく、それ以外の感覚からも場所を特定できるから。

 いろいろな感覚を合わせれば、無駄に掘らずに餌に最短で近づける。


 今までそれにしか使ってなかったんだが、なんだろうこの不快感。

 天敵という感じではない。

 危機を知らせてくるわけでも、逃げろという警鐘を鳴らされるわけでもない。

 ただ、不快だ。


 この土の向こうから、ゆっくりとこちらに向かってきている。

 俺と同じく地中性の生き物だ。


 俺から、少し離れた場所の土壁が崩れ、中から……


 モグラが出てきた。


「え??」


 この不快感の正体は、モグラ……なのか?


 モグラ……

 まじまじ見るのは初めてだ。

 何というのだろうか、キモかわいいという奴だろうか。

 綺麗な毛並みに、長い鼻、大きな前足。

 非常に、不格好だ。


 モグラは俺の方に向き直り、鼻先に噛みついた。


「痛!!」


 何だこいつ。

 俺をなめるなよ、一般モグラの分際で。


 俺は下級から特級まで土竜スキルをコンプリートした、いわば最強モグラだぞ!!


 強力な前足で相手を攻撃、とりあえず鼻先から敵を離す。

 相手との距離を測りながら、観察する。

 反撃に驚いたのか、結構及び腰だ。


 モグラに詳しくないのでほんとにそうかはわからないが、何となくそんな雰囲気を感じる。


 ……観察はしているが、どうすればいいのかはわからない。


 というかそもそも、こいつはなんでいきなり襲ってきたんだ?

 モグラってこんな狂暴だったのか?

 ……そういえば。


【土竜:体長2.6~21。名前の通り地中の中で過ごす。基本群れることはなく単独で生活し、それぞれの個体が縄張りを持つ。素材はその希少性と性能から高級品であり、貴族が欲してやまない……】


 単独で生活、個別の縄張り……

 ここら辺、こいつの縄張りだったのか?


 というか、はじめに感じた不快感の正体はこれか。

 本能的に、近くに同種がいたから縄張り意識が出たのか。


 俺の方が新入り、縄張りに侵入したのは俺だ。

 だが、モグラに追われて逃げるというのはなしだ。

 俺のなけなしのプライドが、それだけは譲れないと叫んでいる。


 モグラに転生して、モグラから逃げたら、俺の中身がモグラ以下ということになってしまう。

 それはさすがに受け入れたくない。


 大丈夫、俺は最強モグラ。

 そう、俺は主人公最強系の主人公がごとく、一般モグラを蹴散らせるだけの力があるはず。


「俺は、最強だ!!」


 とりあえず叫んで突進した。

 一般モグラは逃げることも出来ず突進が直撃、ぴくぴくと完全に痙攣している。


「勝った……」


 俺の異世界での初戦闘は、輝かしい勝利で終わった。

 俺が勝利の余韻に浸っていると、一般モグラがゆっくりと体を起こし、


【モグラが仲間になりたそうにこちらを見ている。仲間にしますか?】

【はい】

【いいえ】


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 ーー次話予告ーー


『第10話 モグラが仲間になりたそうに以下略』

 明日更新


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