第3話 と、ゆうことがありまして

 と、そんな事件があった。


 別に事件というほど何があった訳でもないんだけど、例の先輩さんは待ち伏せしてやがった。


 理由は、まあ要約すると昨日の謝罪、だろうか?


 投稿して自転車を止めていた僕の後ろに佇んでいた先輩さんは僕が気づいて話しかけると少し目を逸らして、、、、、



「なんかようでも?」


「いや、何というべきか、、、」


「何ですかホント? 急いではないですけど、僕も教室行ってゲームしたいんですよね」


「まあ、そうだろうね。 いや直ぐに終わるんだ。 ホントに、昨日の事といい本当に済まない」


「あ、その事ですか。 別に良いですよ、僕も同じ状況になれば同じことをしたかもしてませんし」



 僕は自転車の鍵を抜きながら言うとポケットにしまって先輩さんの横を通ろうとした。


 そんな僕は、先輩さんの足に引っ掛けられて足が刈られ軽く躓きそうになる。


 ギリギリ踏み止まって少し進み振り返った僕を先輩さんは凄く申し訳なさそうな顔をして、、、



「話し方から薄々は気付いていたが、君は秘密を知っているんだな、、、」


「え、何の話をして、?」



 僕は悲しそうな雰囲気を纏って言う男にハテナを浮かべて言う。



「惚けなくてもいい、俺はクリオラギルドの人間だからな。 アンタは何処だ? ウチの同盟ギルド出身か?」


「は? いや、何の話、」


「言えないって事は同盟組んでないギルドの人間か、済まないな。 でも呪ったりしないでくれよ? そうゆうゲームなんだから、な」



 そう言った先輩さんが右の拳を強く握った。


 そう思った瞬間、先輩さんの拳が、、、


 と言うより周りの空気が歪んで見えた。


 例えるならライターの炎周りが歪んで見えたりするのを強くした感じ。


 歪むとともに熱気が来たことからも、あり得るかどうかは別として拳が発熱している。


 あの女の兄貴だ、時間を止めるような奴の家族ならあり得ないとも言い切れないだろ。


 いや、ってゆうかソレはどうでも良い!


 今重要なのは、理由は分からないながらも分かる。


 このまま見つめ合ってたら僕は無事じゃ済まない!


 そん考えた瞬間、僕はポケットに腕を突っ込み自転車の鍵を取り出した。


 そして一呼吸も置かずに鍵の先端を思いっきり歪んで無い手首に突き立てる。


 と同時、少し刺さった感触を感じて直ぐに腕ごと鍵を引き皮を引き裂いてやった!



「んぐっ、」


「オッラッッッ!」



 僕は怯んだのを見て靴の踵部分で鳩尾を蹴ってやった。


 そして足に伝わる抵抗に身を任せ後ろに軽く飛んだ僕は体を後ろに向けると逃げるように校舎の入り口へ走った。

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能力隠してても強いですけど何か? 福田点字 @tomotyoko

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