☆7R》魔導カード(許可証)

 ここは、かつてビルドバーストと言われていた場所。


 タツキとテリオスは、オパールに行くにあたり、今後どう行動するか話しあっていた。


「……うむ。そういえば、オパールに入るには許可がいることを、お前は知っているのか?」


「ん?ああ。そのことなら、俺を召喚したヤツから聞いている」


「それならいい。だが、どうやって許可をもらうつもりだ?」


 テリオスは真剣な顔でタツキをみていた。


「許可か。……俺を召喚したヤツが国にもどり許可をもらうと言っていた」


「なるほど。お前を召喚した者は、かなり地位の高い役職についているというわけか」


「ああ、そうらしい。だが許婚のこともあり。今は辞めたと言っていたが」


 タツキがそう言うと、テリオスは不思議におもった。


「タツキ。そうなると、その者が許可をもらうのは、かなり難しいのではないのか?」


「アイツもそう言っていた。だがもしもの時は、知りあいを頼ってみるともな」


「ふむ。その者と連絡をとることはできるのか?」


 そう言われタツキは通信用の巻物をバッグからとり出しテリオスにみせた。


「これでアイツと、連絡しあうことになっている」


「通信用の巻物か。それなら、すぐにでも連絡することができる。そうなると、大丈夫そうだな」


「テリオス。何を考えてる?」


 テリオスは笑みを浮かべタツキをみた。


「フッ、考えているというか。俺なら、すぐにでも許可を出すことができる。と言いたかっただけだ」


「……そうか。お前はブラックレギオン国の王子。ここで許可がもらえるなら助かる」


 タツキは少し間をおき考えた後また口をひらいた。


「だけど、どうやって許可をだすつもりだ?まさか、口頭で許可を出すわけじゃないよな」


「ああ。流石にそれはない。だがこの魔導カードで、許可証をつくることができる」


「魔導カード?それがあれば、すんなりオパールに入ることができるのか?」


 タツキがそう聞くとテリオスは首を横にふった。


「いや、この魔導カードは、ただの許可証だ」


「……許可証。いまいち理解できない。それがあれば、簡単に入れるんじゃないのか?」


 タツキはテリオスが言っている事が理解できずにいた。


 テリオスはそう言われ、バッグの中から小さなケースをとり出した。


「うむ。この魔導カードはオパールに入る際の鍵となる。だが、あくまでそれだけの役目しかない」


 そして、テリオスはケースのフタを開けると、1枚の魔導カードを手にし話しはじめた。


「タツキ。その為この魔導カードでは、魔導兵士マナゴーレムを静止させることができない」


「って事は……。その後どうなるかが、分からねぇってわけか」


 タツキはそう言いむずかしい顔をしていた。


「うむ。そうなる。それで、どうする?」


「テリオス。考えるまでもない。許可証をつくってほしい」


 そう言うとタツキはテリオスに深々と頭を下げた。


 テリオスはそれを確認すると、魔導カードを左の手のひらの上においた。


 そして魔導カードに、ポケットからとり出した魔導ペンで書くと、右手をかざし魔力を注いだ。


 すると、魔導カードから黒い光が放たれた。だがすぐにその光は消え、魔導カードにブラックレギオン国の紋章が刻まれた。


「なるほど。今の魔導技術はたいしたものだな」


「まぁ。これも皆、異世界の者のおかげと言った方がいいだろうな」


 テリオスはタツキに許可証を渡した。


「テリオス、ありがとう助かった。これでオパールに堂々といける」


 タツキはテリオスにたいし、心の底から感謝していた。


「タツキ。オパールの調査の件はお前に任せた!」


 そう言いテリオスはタツキに頭を下げた。


 そして魔導カードの許可証を手に入れたタツキは、テリオスにその使いかたを教わった。


 その後タツキはテリオスと別れ、その場を離れるとグレイルーズ領土へと向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る