FFKT2022 #4【D.A.N.とKID FRESINO】

 僕が日本の音楽シーンに興味を持ったのは、一重にこの二人(一人とバンド)がいたからと言っても過言じゃない。既に「手始めにネオ・シティポップな作品を9つほど。」にて紹介した、D.A.N.とKID FRESINOについて語っていきたいと思います。


 D.A.N.は、去年待望の3rdアルバム『NO MOON』をリリースしました。2ndアルバム『Sonatine』から実に約3年ぶりの新作だったのですが、流石は日々変わり続けるバンド。サウンド面でも大きな変化が見られました。初期の同バンドに対するイメージは「トリップホップ調のネオ・シティポップサウンド」でしたが、2ndアルバムではサポートメンバーの小林うてなから一旦距離を取った3ピース回帰の作品となり、ライブでもオリジナルメンバーでの限界に挑むようなリアルグルーヴにフォーカスするやり方が成されていました。その後、3rdアルバムまでの期間は試行錯誤の連続だったように思えます。小林うてなだけでなく、5人目のサポートメンバーとしてFLATPLAYこと篠崎奏平が加わった大所帯での編成の時期を経て、現在は4人編成と3人編成をスイッチしながらライブを行っているようです。

 2020年にはライブアルバム『Live Archive:Strand』をデジタル限定でリリースしていますが、この時期は5人編成で、アレンジを行わない、原曲のイメージを保ったままのライブを行っていましたね。

 そこから更に大きな変化を見せたのが去年リリースされた3rdアルバムです。アルバムの内容としては、これまでで一番ダンスミュージックに接近したものになり、なんとドラムセクションを打ち込みに変えるという大胆なアプローチをして見せたのです。これは焦った。初期のインタビューでは「Marcus Gilmoreに影響を受けている」と語っていましたが、今作はMoses Boydみたいな現行のUKジャズに接近したような叩き方に変わったなぁとか思っていたら、そもそもドラム叩いてなかったのかよ二度驚いた。『NO MOON』は、僕個人としてはとても好きなタイプの楽曲が多く、特に好きなのは「Overthinker」という曲です。例えるなら「アンビエント2ステップ」と言った具合でしょうか。ドラムのリズムはUK色の強い2ステップ系ですが、その上にアンビエントなシンセとそれらと親和性の高い櫻木大吾氏のボーカルが乗っかった、なんとも心地のいい曲です。


 KID FRESINO。

 僕がD.A.N.とKID FRESINOの2マンライブを恵比寿のLIQUIDROOMで見たのはもう3年くらい前になるっぽいです(知らんがな)。KID FRESINOも2018年にアルバム『ài qíng』をリリースしてから約3年の歳月を経て去年『20,Stop it』を発表し、その間にも多くのラッパーとの客演やシンガーソングライター・カネコアヤノとの楽曲制作など精力的に活動を続けてきました。僕とKID FRESINOとの出会いは「coincidence」のMVだったのですが、同曲が収録されたアルバム『ài qíng』もめちゃくちゃ聴いたなぁ。KID FRESINOの良さはとにかくセンスがいいところですが、もっといいところは、適度にカッコ悪いこと(というかボケ?)をするところです。これはかなり個人的な意見なのですが、どこか天然っぽさがあって、彼のやることには独特の三枚目感がある気がします。

 去年リリースされたアルバム『20,Stop it』は、これもめちゃくちゃ聴いたなぁ。KID FRESINOのライブメンバーにはD.A.N.のサポートを務める小林うてなが参加していますが、同氏の叩くスティールパンは、やはりどちらでも大きな存在感があってとても素敵です。先行シングルで発表された「No Sun」とか、「coincidence」と同様にめちゃくちゃ好きです。日本を代表するポストロックバンド・toeがリミックスしたバージョンもめちゃかっこいい。客演として、前述のカネコアヤノとフィーチャリングした「Cats & Dogs (feat.カネコアヤノ)」や、現代電子音楽の鬼才・長谷川白紙とフィーチャリングした「Youth (feat.長谷川白紙)」も超好き。長谷川白紙については次回じっくりと語っていきたいと思います。


 いや、本当に今回のFFKTやばいな。

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