『(4:30) Idler』- Jaime Isaac

 サウスロンドン・シーンは次世代ジャズシーン、そしてインディーR&Bという―—ネオ・ソウルとヒップホップのハイブリッド的なメロウ・ミュージックが顔になっています。King KlureやTom Mischのようなヒップホップ色の強いインディーR&Bミュージシャンが注目を集める中で、逆に浮き出てくるのがJamie Isaacという才能。彼はヒップホップ的なアプローチとは若干の距離感を感じさせる、クラシカルなソウルミュージックやスムースジャズのようなフィーリングを持つ―—よりソウルフルなインディーR&Bを得意とするミュージシャンです。


 僕がJamie Isaacを知ったのは凡そ3年前まで遡ります。2018年の秋頃、度々登場する会社の先輩からライブに誘われたのがきっかけでした。その当時、D.A.N.の2ndアルバムがリリースされ毎日のようにリピートしていたのですが、そんなD.A.N.が渋谷のWWW/WWWXで定期的に行なっているツーマン・ライブイベント「Timeless #4」にて相方に選んだのがJaime Isaacでした。会社の先輩はその前からJamie Isaacに目を付けていたらしくD.A.N.とライブをやる事を知って僕に声をかけてきたのです。そうして急いでチケットを取ったのですが整理券番号はまさかの1番(一般販売の出待ちをしていたら)。渋谷駅前の居酒屋で一杯やってから夕方の会場に向かいましたとさ。ちなみに会場の物販で「Timeless #4」のポスターを買いました。後日額縁を購入し、今も部屋に飾られています。


 さてサウンドについて触れていきましょう。サウスロンドン出身のJamie IsaacはKing Klureと旧知の仲なのですが、実はこのアルバム自体はアメリカ・カリフォルニアに移住した後に製作された作品のようです。彼は特にマーヴィン・ゲイに影響されているらしく、そのサウンドはヒップホップを通過したクールなマーヴィン・ゲイとも言えなくもないです。また10年代ぐらいからシーンとして浮上し始めたチルウェイヴ系のサウンドの影響を感じさせます。もちろんTom MischもチルなミュージシャンなのですがJamie Isaccはどことなくシンセポップの趣きがあり、その点が大きな違いです。

 それこそアメリカのチルウェイヴの第一人者であるToro y Moiっぽさがあり、クールながらもダンサンブルな仕上がり具合になっている気がします。ダンス好きの僕としはこの点がかなりポイント高いです。

 Jamie Isaacはサウスロンドン系のミュージシャンとみなされていますがその実態はよりアメリカ的で、所謂UK産のサウンドとはフィーリングが異なります。サウスロンドンといえばTom Mischがもてはやされていますが、個人的にはKing KruleやJamie Isaacの方がアツいんだと言っておきたいです。みんないいんだけどね。


 * * *


 ちなみに。ライブは整理券番号1番だった訳ですが飲み屋で一杯やってる間に開場、普通に真ん中くらいの位置でライブを見ましたとさ。そして勿論、最高でした。


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