第4話 学科

教室に戻ってから数分後、北条先生が戻ってきて黒板の前に立つ。


「これから兵科訓練の見学があります。生徒ランクごとに訓練場ご違うので分かれて下さい」


先生はそう言って各ランクの訓練場をDランクから順に説明していく。しかしーー


「Aランクは第1体育館の地下1階です。それでは各自移動して下さい」


何故かAランクまでしか説明されずに話が終わる。

Sランクである俺はどうすればいいのだろうか、とりあえず北条先生の所まで行ってみるか。


「あの北条先生、俺はどうすればいいんですか?」

「あ、相真君はSランクなので私とマンツーマンです。頑張りましょうね」




(先生は綺麗だからマンツーマンは嬉しいけど、それだとサボらないし、しんどそうだな)


『いや、サボらないで下さいよ』


ルナに本日何度目かの思考へのツッコミをされる。今日は随分よく喋るのこいつ。


「では色々説明する事もあるので第2体育館に移動しましょうか」




北条先生に案内されて第2体育館の地下2階にまでエレベーターを使って降りてきた。

体育館の地下階は部屋がいくつかに分かれていて、地下2階の場合は生徒1人1部屋となっている。

そもそもSランク生徒自体ほとんどいない上、Sランクの上級生のほとんどはなんらかの組織に所属しているらしくこの学校にいない事が多いらしく、体育館のこんな贅沢な使い方が出来るらしい。


「早速ですが相真君には学科を選んでもらいます」


大量の武器が入った箱を両手で持ちながら、そう言ってくる。


「いきなり選んでと言われても困るでしょうし、とりあえず学科の詳しい説明しますね。まず白兵科は1科2科3科に分かれており、1科では格闘術や刀剣を使った近接戦闘術を、2科では銃器や爆発物を使った近接戦闘術、3科ではハンドガンや魔術を使った近接戦闘術が学べます」


北条先生は箱に入っていたブレードやショットガンを持ちながら説明してくれる。

確かに実物がある方が分かりやすいがかなり物騒だな、まぁ軍校ではこれくらい普通なのだろう。


「次に射撃科です。射撃科は1科と2科があり、1科はハンドガンやサブマシンガンなどを使った近距離の射撃技術を、2科ではアサルトライフルなどの中距離の射撃技術が学べます。狙撃科ではその名の通りスナイパーライフルを使用する狙撃技術が学べます」


先生は箱から次々と銃器を取り出しながら説明してくれる。


「魔術科も1科2科があり、1科では攻撃系の魔術を、2科では防御や支援系の魔術が教われます。暗殺科では暗殺技術や諜報技術なんかを指導します」


先生は水の玉を作り出して手の上に浮かべる。その光景に俺は目を丸くする。


「おお凄え!それが魔術ですか?」

「ふふ、そうですよ。びっくりしましたか?」

「そりゃ驚きますよ」


非科学的としか言いようの無いその光景は、魔術や魔力の実在の何よりの証拠だろう。能力使った時とはまた違う感動があるな。


「魔術への驚きは一旦置いといて説明に戻りますね。医療科では負傷者への医療技術や魔力を使った治癒魔術も学べます。最後に技術科ではパソコンなどを使用したハッキングや、武装の製作や改造、後は爆発物の製作や処理などの技術が学べます。さてどれがいいですか相真君?」


なるほどね、とりあえず魔術科は無理だってルナに言われているから除外しても結構選択肢あるな。


『私は能力の関係上、白兵科、射撃科、暗殺科のどれがだと思いますよ。まぁ決めるのは相真君ですけどね』


「まぁ今日中に決めてくれればいいので、ゆっくり考えてもらって結構ですよ」


「いえ、もう決めました。白兵1科、白兵3科、射撃1科にします」


ルナから助言を貰って自分なりの構成を考えだす。


「なるほど接近戦重視って感じですね。分かりました明日からのトレーニングメニューを考えるので今日は帰っていいですよ」

「えっ、もう帰っていいんですか?」

「はい、でも明日からの訓練はハードなので頑張って下さいね」


北条先生はそう言って微笑む。その笑みからはどこか怖さの様なものが感じられた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る