コーヒーカップの悲劇

鮭さん

第1話

 コーヒーを飲みまーす。コーヒーカップにコーヒーを注ぎまーす。


 ソソソソソソソソ、ソソソソソソソソ


 注がれました。見事に注がれて、すごいです。


「見事に注いだね。」


 コーヒーカップが言いました。だってまあ、見事に注いだのは事実だものね。すごいものね。褒められて当然よね。私はナルシストになりました。


「さあ、見事に注いだことだし飲むとしましょうか。」


 ゴクゴクゴクゴク、ゴクゴクゴクゴク


 美味しいな。美味しいな。苦くて美味しい。コーヒーはとっても美味しいです。


「キスが上手ですね。」


 あらまあ、またまたコーヒーカップに褒められてしまいました。しかし、キスなんて卑猥です。猥褻です。そんなつもりでコーヒーを飲んでいるわけではありません。これはちょっと生理的に無理です。


「生理的に無理です。」


 私は言いました。私は思ったことを言うのです。コーヒーカップのくせに、キスされたと思っているなんて。


「あなたはコーヒーカップ失格よ。」


「ガガーン!!」


 コーヒーカップはショックを受けたようでした。ガガーン!!と音がしたのでした。


「ショックを受けましたか?」


 私はインタビュアーになります。インタビュイーはもちろん、コーヒーカップです。


「はい、ショックを受けましたよ。」


 やはりコーヒーカップはショックを受けたようでした。潔い返事です。そうかそうか、それならば、


「君はこいつと付き合いなさい。」


 私はティーカップを与えました。花柄のおしゃれなティーカップルです。


「きゅん♡」


「あはん♡」


 2人は満更でもなさそうです。


「うふふふふ。」


「あははははは。」


「うふふふふ。」


「あはははは。」


「私たち、ティーカップルね。」


「ん?」


 ティーカップの一言に眉を潜めるコーヒーカップ。


「いや、コーヒーカップルだろう。」


 コーヒーカップが言いました。


「いいえ、ティーカップルよ。」


 ティーカップも引きません。


「いいや、コーヒーカップルだ。」


「ティーカップル!!」


「コーヒーカップル!!」


「ティーカップル!!」


「コーヒーカップル!!」


 ドドドドドドッ!!


 ガガガガガッ!!


 怒りのパワーで中に浮かぶだすカップたち。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...........


「す.....すごい(ごくり...)。」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ.....


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ.....


 今にも、今にも争いが生じるそうだ....。今にも、今にも.....。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ...ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ......


 ゴーーンッ!!


 パリーンッ!!


 予想通り2人は衝突し割れてしまいました。うう。


「きゃー死んだわー!!大変大変ー!!お片付けしないといけないわー!!」


 カチャカチャカチャカチャー!!


 カチャカチャカチャカチャー!!


 2人の亡骸をほうきで集めます。


 カチャカチャカチャカチャー!!


 カチャカチャカチャカチャー!!


「うぅ、うぅ、、、、。」


 ああ、いろんな記憶が蘇ってきます。カップ達と過ごしだ日々。ああ、そういえばこのティーカップは、亡くなった母から、コーヒーカップは事故で死んだ彼からのプレゼントだった....。


「ああああああああああああああ!!ああああああああああああああああああああああ!!」


 完

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コーヒーカップの悲劇 鮭さん @sakesan

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