ありふれた「それらしさ」を否定して、深刻な不条理にたどり着く

傷つけられ痛みつけられたふたりの少年の、残酷な顛末を描く掌編です。
それらしい「救い」を与えることを拒否し尽くすようなリアリズムは、当然のごとく不条理なまでの結末にたどり着きます。甘い解釈を微塵も許さない主人公の視点は、それにも増して残酷です。唯一の友人でありながらきっと自分を憎んでいると思い、相手の生存を願わない気持ちさえ偽らないその態度は、過酷なほどに「それらしく」ありません。でも、だからこそ、そこに真実らしさが寄り添うように思います。
ひりつくようなリアリズムに徹した、過酷な現実を突きつける作品です。