第21話 可奈子さんは意外と厳しい?

「月城くんってさ、週どれくらいしてるの?」


「何がっすか?」


「ん? 彼女とのエッチ」


「へっ? い、いや、それは……」


「あ、ごめん。参考までに聞きたくてさ。俺は週2、3回くらいしてるんだけど。彼女にもっとしろ~ってせがまれてさ。他のカップルはどんなもんかなって」


「お、俺は……数えてないですけど……」


「うん、大体で良いよ」


「とりあえず、毎晩……」


「えっ」


「あと、お互いに体力に余裕があれば、朝も……」


「ちょ、ちょっ……えっ、マジで?」


「やっぱり、まずいですかね?」


「いや、何ていうか……お盛んですね~」


 田之上さんはニヤニヤしながら言う。


「おい、お前ら。くっちゃべってないで、真面目に仕事しろ」


「あ、さーせん」


 田之上さんは言ってから、


「あのおっさん、女日照りだからって俺らのこと妬んでんだよ。気にせず、リア充トークしようぜ」


「田之上さんって、結構ひどいっすね」




      ◇




 最初は学校帰りにバイトをして疲れて帰って来たけど。


 最近では、すっかり慣れた。


「おかえりなさい、冬馬くん」


「ただいま、可奈子さん」


 いつも通り、可奈子さんが玄関先で迎えてくれる。


 それから、


「んっ」


 キス顔でねだって来る。


「んっ」


 俺はそれに応えてあげた。


 ちゅっ、と。


「……ごはんにする? お風呂にする? それとも、可奈子にする?」


「じゃあ、可奈子さんで」


「ふぇっ!?」


「いやいや、また同じ手に引っかかって」


「あ~! 晩ごはん抜きです!」


「良いよ」


「へっ?」


「その代わり、本当に可奈子さんを食べるから」


「ちょっ、まっ……」


 俺は可奈子さんを壁に追いやった。


「その美味しそうなおっぱい、食べても良いですか?」


「と、冬馬くん……ど、どうぞ」


 可奈子さんは照れたようにそっぽを向きながら、エプロンをはだけて前の方をペロンとした。


「いや、ごめん。冗談です」


「……イジワル。ドS王子」


「ドSじゃないから。荷が重いっす」


「……じゃあ、もっと優しくして」


 可奈子さんは少し怒った風に言う。


「……可奈子さんは、世界で1番可愛い俺の嫁です」


 そう言いながら、俺は彼女の頭を撫でた。


「んっ……頭を撫でられるの、気持ち良い」


 可奈子さんはスッと目を閉じて言う。


「可奈子さん、顔だけじゃなくて髪もきれいなんだね」


「やだもう、おませさん♡」


 すっかりご機嫌を取り戻した可奈子さんに、額を小突かれる。


「ごめん、汗臭いのが移っちゃったね」


「じゃあ……一緒にお風呂に入る?」


「でも、可奈子さんと入ると狭いからなぁ」


「むっ」


「おっぱいが大きすぎて面積が……にゃっ!?」


「この口か~? この口がオヤジみたいなことを言うのか~? イケメンのくせにエロオヤジめ~」


「だ、だから、イケメンじゃないって。良いとこ、フツメンだよ」


「でも、前に飲み会した時に道三郎くんが言っていたでしょ? 冬馬くん、クラスの女子にモテるんだってね?」


「いや、それは……たまたまだよ」


「どうだか。その内、浮気されちゃうかもね」


「しない、しない。俺は可奈子さん一筋だし。クラスの女子も確かに素敵な子ばかりだけど。可奈子さんには敵わないから」


「おっぱいが?」


「まあ、そうだね。俺もう、このおっぱいから離れられないし」


「……おっぱい星人」


「ご、ごめん」


「女の子をおっぱいでしか判断しないだなんて、冬馬くん見損なったなぁ」


「か、可奈子さん……俺のこと、嫌いになった?」


「そうね。悪い子な冬馬くんは嫌いよ」


 ツン、とそっぽを向かれてしまう。


「何か可奈子さん、段々と厳しくなって行くね」


「当たり前でしょ? 私、愛する夫は厳しくしつけるから」


「もう、優しくはしてくれないの?」


 俺はつい、すがるような目で見てしまう。


 すると、可奈子さんは俺に目を向けて、引き結んだ唇を揺らした。


 そして、俺のことをギュッと抱き締める。


「や~ん! もう私の年下カレシが可愛すぎる~!」


「か、可奈子さん?」


「大丈夫よ、ちゃんとアメとムチで鍛えてあげるから♡」


「な、なるほど。俺としては、糖分多めの方がありがたいですけど」


「そんなに甘くして欲しいの?」


「まあ、そうだね」


「だったら……もっと私のこと、メロメロにして?」


「ど、どうすれば良いかな?」


「それは自分で考えて?」


「じゃあ、とりあえず……一緒にお風呂に入りますか?」


「うん」


「あと……アレも持って行って良い?」


「アレって?」


「分かるでしょ?」


「……ふふ」


 そして、二人で脱衣所に消えた。


 その後、風呂場で可奈子さんの可愛い声が響き渡った。







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