第8話 誕生日
どうも。ローランです。あれから2ヶ月が経ち、私ローランは6歳の誕生日を迎えました。
特に変わり映えのない誕生日でした。変わっていたのは、ケーキの上にロウソクが一本増えていたことくらいでした。
なんのイベントもなく両親だけに祝ってもらうというとてつもないモブ感を漂わせながら終わりを告げました。こちらとしては最高です。
この世界では、誕生日にプレゼントを送るイベントはないのかなぁ、と思っていましたがどうやらあったようです。
今日、ヴァルガン王国まで行ってプレゼントを買ってもらえるそうです。
しゃぁ!!来たぜ。この誕生日にタダで物貰えるイベント。これを待っていた!
そんなゲスいことを考えながらアレクスに掴まり、魔法で身体を強化して二人は王国まで走って行きました。
ん?なんか口調が違うって?物買ってもらえるからちょっとでも謙虚にしようと心の中でおもっているんですー。
まぁ、プレゼントをもらえるから喜んでるってことも九分九厘くらいないことはない。うん。九分九厘、、、ほとんどだったね。
そして、走ること20分。ヴァルガン王国に着いた。アレクス曰く、街がとても整備されていて綺麗で、スラム街みたいなところは全くなく、街の人々の顔色はとても明るい良い場所だと思えた。
そう言えば、プレゼント何貰うか言ってなかったな。貰うプレゼントは剣である。個人的には刀の方が好きだから、その場で駄々こねて刀を買ってもらう予定である。
ちなみに、なぜ剣なのか聞いたところ、
「小さい頃から剣の扱いを学んでおいた方がいい。剣も魔法も学んだ俺が言うんだからな!あと、護身用として使える程度にはなっておいた方がいい。自分を守るのは自分しかいないんだ。」
なんて、説得力アリアリな言葉を言われたので、剣の方も今後頑張っていくとしよう。
魔法剣士か、、いかにも強ポジ感がするけどオールラウンダーは嫌いじゃない。というか今まで一人でやってきたから大好きです!
少し街を見て周りながら歩いているとお目当ての店に到着した。その店に入ってみるとそこそこの客が来ていて、なかなかの品揃えだった。
「いらっしゃいませ、お客様。今日は何をお求めになられましたのでしょうか?」
「今日はうちの子の剣が欲しくてな。子供でも使える護身用があれば助かる。」
そうアレクスは言ったが、さっきも言った通り俺は刀が欲しかったので、このタイミングで意思を伝えることにした。
「お父さん。僕、剣じゃなくて刀が欲しい。」
「刀?剣の方が強度も強くてパワーもある。それに比べたら刀は脆くてすぐ折れてしまうのではないか?」
「でも刀の方が剣より軽いし、しっかり芯を捉えると剣より切れることもあるって本に書いてあったよ」
「だがなぁ、、、」
どうやらアレクスは俺に剣を持たせたいらしい。まぁ、剣は剣でカッコイイんだけど、刀には刀の良さってものがあるからな。そのあたりをわかってもらいたい。
そうこう言い合いをしていると店員が提案を持ちかけた。
「残念ながら、子供用のは剣しかないのですが、大人用のであれば試し振りしてもらっても構いませんよ。」
ナイスアシストだ。店員のおっちゃん!だが、子供用の刀がないのはいただけませんな。
「そうしてみるか。それでいいかローラン?」
「うん。わかった。」
そう言って試し振りをすることになった。
が、しかし、
「なにこれ、両方とも大人用は全然重たいんだけど 。」
というか、剣に限っては持ち上がらなかった。
「流石にローランに大人用は早すぎるもの。刀が好きなのはわかるけど、大人用を持つにはまだ筋力が足りなさそうだから子供用の剣で今は我慢して頂戴。お願い、ローラン。」
流石に持てない武器を持っていても護身用どころかかえって身を危険に晒すだけだからな。仕方ない。こればかりは身体が出来上がるまでどうにもならん。
そう考えているとまたも店員が提案を持ちかけた。
「今は刀がございませんが、少しばかり時間と代金をいただけるのでしたらお子様が望まれる刀をレシピ通りにオーダーメイドで特注しますがいかがでしょうか?」
流石だな。そんなことまで頼めるのか、この店は。
「それでいいか?ローラン。」
「うん。わかった。でもどうやって重さなんか測るの?」
「それはこの鉄棒ですよ。長さや質量にいろいろ違いがございますので、重さと長さが決まり次第こちらにお伝えください。」
なるほど。この何百本もある鉄棒からいい感じのを選べと。この店すごいな。そう思っているとアレクスも「相変わらずすごい店だなぁ。」なんて言葉を発していた。
どうやら、騎士団にいた頃に通っていたのだろう。
そしてしっかりくる感触の棒を探し始めて20分。ようやくしっくり来た気がする。
というか、子供用なんてそもそも数が少ないから妥協に妥協を重ねたものを選んだ。
「お父さん、僕これにする。これで刀を作ってもらうよ。」
「これでいいのか。刀にしては少し重めになりそうだぞ。」
「うん。これから頑張って筋肉をつけて持てるようにするよ。」
そういうと、アレクスもグランツェも了承してくれた。そして刀の代金の13000ゼニーを
払って店を後にした。刀は後で家まで届けてくれるらしい。送料込みなのね。
てか、ゼニーってなにゼニーって。銭?この世界所々テキトーだな。
そして、俺たち家族はふらふらと良さげな店を探して歩いていると人気店だと聞くケーキ屋が視界に入ったのでいくことにした。
「いらっしゃいませ。お客様。店内で召し上がられますか?お持ち帰りになさいますか?」
そう言ってきた店員はとても明るく美人であった。その女性を前に俺は心の中で「あなたをお持ち帰りで。ドヤッ!」みたいなことを考えていたが、もしそんなことを言ってしまったとしても、おかしな子どもだと思われた挙句にグランツェからの説教が待っているだろうから言わないでおいた。
「チョコレート2つとチーズケーキ1つを持ち帰りでお願いします。」と、グランツェは言った。
おまっ、"持ち帰り"じゃない。"お持ち帰り"だ!などと、くだらないことを考えていると既に会計が終わっていて二人は外に出ようとしていたので俺もその後を追って出た。
そして、来た道を戻り家に帰るとすっかり日が沈んでいた。疲れたのでリビングでゆっくりしようと思っていた矢先にグランツェが「第二回ローラン誕生日パーティー!」などといい始めて二日目の誕生日会が始まった。
マジかよ。俺は超疲れたんだけど?
誕生日会に俺の意思など関係なく、あるのは主役の出席義務。昨日より何故か少しだけ派手な誕生日会が行われた。
それともう一つ言わせて欲しい。昨日はホール。今日はピース。それでも甘ったるいものを二日続けて食うと流石に気持ち悪かった。
それに昨日のホールは少し余っていた。
「主役じゃあ、これ全部食べなきゃねぇ。」
なんてグランツェの囁きが聞こえて、その後無理やり食わされた。
その後、糖分に勝てなかった俺の胃と身体はすぐに戦闘不能モードになって、俺はリビングで倒れ込んだまま2回目の誕生日会を過ごした。
重、、、、、、、、、、、
リバースしそう、、、、、、
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