作り出せ、造語

旧多鐚

宝石を噛み砕く(オイシイオイシイ)

悪名高い成金男の屋敷に百姓が押し寄せてきたのはあと少しで大正の世が終わる昼下がりの事だった。


先刻まで威勢の良かった成金もさすがに柱に縛りつけられては、敵わない。悔しそうに己を取り囲む百姓たちを睨みつけている。

百姓たちは男のコレクションである宝石を棚から取り出すと、それにかぶりついた。


突然の出来事に成金は泣き咽び、「やめてくれ!」と叫んだがもちろん百姓たちが止める訳はなく、


「宝石ってのは美味しいなァ!」

「オイシイオイシイ!」


ついに百姓たちは全ての宝石を噛み砕き、その腹の中に収めてしまった。

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