11・ナーロッパ設定の活用
今日は異世界ものを特に取り上げる話です。
異世界ものの設定面。その中で良くも悪くも、この原稿を書いている時点でホットなのが、いわゆる「ナーロッパ」という世界設定というか、設定群でしょう。
いちおう一言で説明すると、異世界ものでよくある「中世、まれに近世のヨーロッパ風」というコンセプトの、「RPGに似た」としばしば説明される世界設定とでもいいましょうか。
実際のRPGとは違う面も結構あります、というか指輪物語やら古典的TRPG、ドラクエ的なもの、果てにはモンハンや近代ヨーロッパなどの、特に好都合な要素がごちゃ混ぜになっているという説明が、最も現状に即しているように感じます。
具体的な特徴を上げるとキリがないので、もっと詳しいページの検索を推奨します。
さて、このナーロッパ、やはり批判する人がいます。
作者の工夫がない、安易に過ぎる、ご都合主義。彼らの言い分はそんなところでしょうか。
その勢力の中で特に有名なのが「ジャガイモ」および「トマト」の存在を指摘する人たちですが、このエッセイは論戦より建設性を重視したいので、詳しくはまたもや検索を推奨します。
また検索に丸投げか! 本当に著者は横着だな!
ということで、建設的な話をしましょう。
仮に異世界ものを書くとして、ナーロッパ設定は捨てるべきか、それとも採用すべきか。
……それは物語の趣旨や方向性、作者さんの趣味にもよるので、一概には私からは言えません。これは何が正しいかというより、個々の作者さんが各々意思決定すべきものでしょう。
とまあ、しかし、この結論だけだと面白くないので、ナーロッパを採用する場合、どうしたらよいかを考えましょう。
といっても、簡単なことです。マーケティングの基礎を思い出してください。
あなたがナーロッパ異世界ものを書くとき、そのターゲット層はどういった人たちですか?
言い方を変えましょう。ターゲット層は「厳密な設定を好む人」とか「徹底的な考証が好きな人」ですか?
おそらく違うはずです。
ナーロッパ異世界ものの需要の源泉は、一言では必ずしも言い表せませんが、少なくとも前述のような層ではない……そのように思えませんか。
つまり、ナーロッパ設定で書く時点で、彼らのために書く小説ではないことが、ほぼ確定します。
とはいえ、先日述べた通り、設定はある程度堅い必要があります。穴だらけだと本当の読者層からも指摘を受けざるをえないでしょう。
ではどうすべきか。
思うに、ナーロッパをベースにしつつも、部分的に補強、追加説明、独自性の付加、設定相互の調整といったことをするのが最適解ではないでしょうか。
ゼロベースで、無から世界設定を作り出すのは、一部の天才、それこそ指輪物語の作者などにしかできない大技です。大半の人間はそんなことはできません。
とすれば、既存の世界設定の汎用性を活かしつつ、チューニングをしてよりよいものを目指し、補強する、という選択が無難でしょう。
そもそもナーロッパ概念自体、枝葉はファジー、つまりフワフワしているので、そこへ個別の作品が切り込んでいくことは、悪いことではないはずです。
例えば、ステータスオープンや冒険者ギルド。確かにお約束ではあるのですが、仕組みや社会的な部分について、慎重に整合性を保ちつつ、それがどういうものか自然な説明をひねり出すなどすれば、よりよくなるはずです。そもそも不要であれば、最初からそれらの設定を切り捨てることも可能だと思います。
ナーロッパのチューニングは現に私も使っている工夫です。
全体の整合性には特に気を付けなければなりません。しかしうまくアレンジが効けば、むしろ堅牢な設定として読者から気に入られることもある……といいですね。
今日はここまでです。
いつもの中庸で折衷的な結論になったぜ!
開き直ったところで、皆さんもよい創作を。
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