04・価格というより○○○

 マーケティングには、四つ、重要とされる事項があります。

 すなわち、価格、製品、販路、販売促進です。この四つは、英語の頭文字が全部Pになることから、四つのPとも呼ばれます。

 ともあれ。

 製品は作品そのもの。販路は発表の場所やジャンル分類。販売促進は、ネット小説の場合、まあ、きちんとした戦略や作戦に基づいた宣伝とほぼ同義でしょう。


 そして価格は、非営利のネット小説に限るのであれば、少なくとも読者の支払うものではない。したがって非営利のネット小説を語るにあたり、Pは一つ減る勘定になる。

 ……本当にそう言えますか?

 確かに、作品に値札やレジ用バーコードはついていないかもしれません。読者は手渡しで現金を払うわけでも、読者自身から銀行振り込みなどであなたや私の預金を増やすわけでもありません。当然です。

 しかし読者は、あなたや私の作品を読むにあたり、広い意味での「コスト」を掛けている。それは膨大な作品の中から作品を探し当てる労力だったり、時にはハズレ作品を引くかもしれないというリスクだったりします。もっと単純に、検索や読破にあてる時間を食っていることも多いでしょう。

 近年、「ポインタの当たり判定を増やすために長文のタイトルにする」という都市伝説がありますが、それも「ポインタを合わせてやる労力」というコストを減らす努力ともとれます。

 当たり判定に関係なかったとしても、タイトルで内容がザックリ分かれば、ハズレを引く危険や概要を読む時間を、つまり「コスト」を削減できます。


 価格は存在しないのでしょう。

 しかし読者が費やすもの……コストは明らかに存在します。

 それは外部からみればささいな、横着すべきでないとても小さなものにも思えるかもしれません。

 ですが、コストがそこに存在する以上、人気作者を目指すためには、原則としてそれを可能な限り縮小しなければなりません。

 コストをあえて大きくする確固たる理由がないのなら、基本的に圧縮し軽減するしかないものでしょう。


 で、私はどうするかですね。このエッセイの骨子は「私が」どうするかです。

 長いタイトルはきっと有利です。しかし長いタイトルに辟易とする層もいるにはいるでしょう。ほとんどがネット小説をあまり読まない外野だとしても、全員がそうだとまでは断定できません。

 つまり、きっとこれはただの二択ではない。

 主題名をそこそこ短めにオシャレにしつつ、副題を長く付けて流行りのテイストを感じさせる。副題を付けるにあたっては、検索対策や長文タイトル嫌いの読者の嗜好を、充分に考慮して慎重に付ける。これが私の考えた最適解です。

 また中途半端のいいとこどりか、ホントこれだから著者は……。

 などと一部の読者様はお思いかもしれませんが、ほら、ヘーゲルもテーゼとアンチテーゼのアウフヘーベンがどうとか言っていますし、多少はね!

 いやあ今回は楽に正解が出たな。よかったよかった!


 結局それは「長いタイトル」側ではないか?

 との疑問が出るかと思いますが、まあおっしゃる通りです。

 基軸はあくまで長文側ですが、その中でも少しでも、短いフレーズ派の読者を回収するとしたら、こういうことにならざるをえないでしょう。

 どんなアイデアも、そう簡単に問題をズバーッと全て解決できるものではありません。もしそういう売り文句を見かけたら、詐欺を略。

 とりあえず俺はこの方針で行くぜ!

 何かご意見があればいただくぜ!

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