空の人:人の空
「女王…いかがいたしましょうか。」
「彼のモノたちは、自らが人間たちだと思っているようですが」
―――ええ、そうですね…何か、祖先が廃棄した
「4本の腕、4本の脚、あの複眼に割れた大あご…想像するだに恐ろしい。」
黒服たちは口々にあのモノたちを非難する。
「見たかね!?あの芋虫…潰しても生きておったわ、緑の体液だわ、身の毛もよだつとはこのことよの…」
「過去の先人たちの愚行の尻ぬぐいとは、まったくいい迷惑だ。あんなモノたちはいち早く浄化せねばならんだろう。」
―――わたしからすれば、あなた方も大差はありませんが…
「女王、それは違うだろう。我々は2本の腕に2本の脚、2つの目玉に整った唇と、人類とはそういう特徴の生物なのだから。」
「さあ、早いところ地上の塵を焼却する新たなシステムを見せてくれ!地上をクリーニングした暁には、我々人類の栄華を地上に再興するのだ!」
―――いいでしょう、私はあなた方に造られたAI…人の姿をしているとはいえ、あなた方の令に従う定め…たった今、地上の穴の焼却システムを起動しました。今から3年間、地上は、過去に起きた終焉の火の災害と、その灰の冬の長きに渡る封印ごと焼き尽くされ、すべてを消し去るでしょう。そして私たちは再び大地に降り立って、青き空を見上げることが出来るようになるでしょう。
女王はすらりと伸びた黄金比の指先で、コンソールを操作した。
空の旅路 QAZ @QAZ1122121
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