第53話 倉庫戦闘


 一行は地上に出れた安堵感と魔女の本拠地に来てしまったかもしれないという緊張感が混ざりあった複雑な気分になった。


 出た場所はやはり洋館でおそらく倉庫のような場所だった。


 倉庫内にはとりあえず危険はないようだ。


 最上隊長と瞬が確認すると通信とGPSがつながっていた。


 近藤はハチキュウを構えながら出入口方面を警戒する。


 日本の警備業法では銃を使った護衛なんて想定されていないよな、などとぼんやりと考えていた。


 電話は話し声が漏れると考え、最上隊長と瞬は落合社長と林三佐にそれぞれ短文のメールを送った。


 マップで確認すると丹波天平という山の南側で中腹ちゅうふくくらいにいるらしかった。



 倉庫には窓がない。おそらく地下室なのだろう。


 とにかくここから脱出しなければ、そう最上隊長が考えていると地下室のドアが無雑作に開けられた。


 だらしなく空いた口からはよだれがたれおちている。着ている服はいつの時代のものだろうか?もしかすると明治時代のものなのかもしれない。すごい体臭だ。


 男はこちらを見つけると大きな声で叫んだ。「ああぅあぁ」


 恐らく仲間を呼んでいるのであろう叫び声。


 男は手に鎌のような物を持っていた。


 入り口を警戒していた近藤はハチキュウの照準を男に向けながら撃てなかった。


 空手の達人でも銃で人を撃ったことはない。


 逆に固まってしまった。


 その間に10人程が集まってきてしまった。毒の吹き矢を持った人もいるようだ。



 近藤は銃の重みに棒立ちになっていた。


 先頭の鎌を持った人がその近藤目がけて距離を詰める。


 鎌を振り下ろそうとする男の頭が炸裂する。


 最上隊長が撃ちぬいた、と思ったがどうやらこのみも同時に撃っていたようだ。


 このみは愛おしそうにハチキュウをなでると連射モードにして集まってきた人たちを薙ぎ払うように撃ちぬいていく。


 集まった人たちは全滅させたようだ。


 最上隊長は予備の電源や食料・水などは倉庫に置いていくことにして倉庫を出る決断をした。

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