三話 公爵家は乗っ取りに遭いました

 三話 公爵家は乗っ取りに遭いました

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「ねぇ、ケレス。今日から私が本物の公爵令嬢ということでOK?」


「え!?」


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 イリスには、いろいろと話したいことがあったのだけど、あまり話すことができなかった。

 まだ、やらなきゃいけないことがあるらしい。


 それにしても、本物の公爵令嬢って(笑

 やっぱりイリスは、考えることがぶっ飛んでる。


 まぁ、上級貴族はみんな影武者の一人や二人いるだろう。

 現にイリスは、私の影武者やってたみたいだし。

 あんなに堂々と、貴族たちの前で入れ替わったのだ。


 むしろこの後、私がケレスとしてふるまったらもっと面倒なことになる気がする。


 あれ?

 もしかして私、一生公爵令嬢に戻れない可能性も……?


 でもいいわ。

 イリスと一緒にいられるのなら。

 イリスのメイドとして、一生を終えるのも悪くないかも。


 ……でも、イリス将来結婚するのよね。

 お相手は、婚約破棄曖昧になったしやっぱり王子かしら?

 完全に庶民と出来てるわよね。


 ただでさえ嫌なのに、浮気者が相手なんてそんなの考えられない。

 せめてもっと誠実で、イケメンで、稼ぎがあって、権力があって……


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 さて、転生者で元メイドで元影武者の公爵令嬢(偽物)です。


 なんだこれは……


 ケレスとの入れ替わり、これが想像以上にうまくいった。

 本当はこの後、外に待機していた彼らに突撃してもらって、パーティーそのものを無茶苦茶にしてしまおうという結構雑な計画があったわけだが。


 ケレスが、かなりの規模の貴族を掌握していたらしいしその影響だろうか。

 原作でも主人公は結構えげつない手を使っていたわけだが、それだけじゃ足りずさらに……

 その結果、一度のミスでの心の離れ方が原作とは比べ物にならなかったのだろう。


 もしくは、奴隷法の失敗が響いているのか。


 まぁ、雑な計画を使用せずに済んだのならなによりだ。

 問題なかったといえばなかったが、のちの動きやすさが格段に違う。


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「ご主人様」


「イリス、生きていていてくれたのだな。そして、今回は本当に助かった。私は力不足だ。公爵家のアルベード家の代々築いてきた権力がありながら、あと少しで娘を失うところだった……」


「……時代が悪かっただけです。もう、後悔したくはないですか?」


「ああ、依然アルベード家の立場はあいまいだ。私に、何かできることがあるのか?」


「覚悟はありますか?」


「無論」


「あなたを私刑で国外追放とします」


「な!?」


「もちろん、生活基盤は用意してあります。私はケレス・アルベード、父の敵国との内通を察知し父を私刑にかけ、国を率い勝利へと導くものです」


「……そこまで。というか、いつのに」


「いつの間に、ですか。ベスタ伯爵、あなたが作ってくれた良縁です」


「そうか、その時から。任せたぞ、自慢の娘よ」


「はい、お父様……」


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