一話 名前を入力してください

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 私には何もない。

 物心ついた時から、私は一人だった。

 名前も、お金も、今日の食事ですら、何もない。


 それでも私は、このスラムで精いっぱい生きてます。


 ……何もないというのは嘘だ。

 本当に何もないなら、こんな世界で今日まで生きていられるはずがない。


 私は環境に恵まれなかった。

 ただ、私は神に選ばれし存在だ。


 私には、圧倒的な才能があった。


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 ステータス

 名前 ーー

 種族 人間

 レベル 10

 HP 900 才能B+

 MP 450 才能B+

 攻撃力 90 才能B+

 防御力 90 才能B+

 魔力 90 才能B+

 素早さ 90 才能B+

 スキル

 主人公補正 レベルX

 成長補正 レベルX

 傾城傾国 レベルX

 基礎魔法 レベル1

 剣術 レベル2

 体術 レベル4

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 私みたいな少女でも、このスラムを生き抜けるほどの才能があった。


 確かに私は、環境には恵まれなかった。

 でも、それを自身の力で乗り越えた。


 この才能は、力は私のすべてだ。


 ……すべてだ。

 これしか、私には。


「ボス、外に兵士が!!」


「え!? 今まで不干渉を貫いてきたのに、いまさら何を……ああ、噂の王子のパフォーマンスか」


「うわぁぁ、あんなにぞろぞろと」


「シャキッとしろ。迎え撃て、この厳しいスラムで生き抜いて生きた我々が、温室育ちのおぼっちゃまに負けるわけない」


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「まだやるかい?」


 私たちは、一瞬で敗北した。

 兵士たちの練度は、私の部下とはスラムにいた落ちこぼれとは段違い。

 何よりも、王子が……


「参りました。さすがは、天才王子様ってところですか」


 圧倒的だった。

 私は初めて敗北した。

 いや、敗北を受け入れたというべきか。


 同い年の少年に……

 私は神に愛されている。

 でも彼はそれ以上に……


「素晴らしい腕の持ち主だ。名を教えてはくれるか?」


 なまえ、私の名前……


「……そんなものはない、です」


 そうだ。

 彼と私ではすむ世界が違う。

 なんたって、スラムの犯罪者と、この国の王子様だ。


 私みたいなのが……


「そうか……メティスというのはどうだ?」


「え?」


「そなたの名前だ」


「私の……名前……」


「どうだ? もちろん無理にとは」


「呼んでいただけますか? 私の名前を……」


「無論だ。メティス」


「はい、私はメティスです」


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 ステータス

 名前 メティス

 種族 人間

 レベル 10

 HP 900 才能B+

 MP 450 才能B+

 攻撃力 90 才能B+

 防御力 90 才能B+

 魔力 90 才能B+

 素早さ 90 才能B+

 スキル

 成長補正 レベルX

 傾城傾国 レベルX

 基礎魔法 レベル1

 剣術 レベル2

 体術 レベル4

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 一部スキルが条件を満たし消滅しました。

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