九話 金融バブル

 九話 金融バブル


 知っての通り、我が国は今戦時中である。

 そして結構な劣勢を強いられている。

 国民も貴族も心のどこかで、今回の戦争はやばいかもしれないと感じながら日々を過ごしている。


 そんなこの国で、金融ブームが起きている。

 国家が保証することで価値が生じる通貨、その自国通貨を今のうちにほかの資産に変えておいてリスクを分散しようという動きだ。


 そしてどうせ変えるなら、将来的に価値の上がる可能性の高いもの、もしくは利率の高いものに変えて、利益を出したいと思うのが人のさがである。

 いつの間にか目的がすげ変わっていると気づかずに……


 はじめはこの国の通貨はリスクが高いから安全なものに変えよう、そう思ってたはずなのに、いくつもの選択肢を前により利益の出るものよりリスクの高いものへ……


 そして私の懐は今大変潤っています。


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 この世界のマフィアやヤクザといった裏社会の住人は、あまり頭がよくない。

 理由は単純で前世の世界で裏社会の住人がやっていたことはこの世界では結構合法だし、万が一ばれても権力、金、暴力でねじ伏せられる。

 裏でこそこそやるのはそんな力がないか、力の使いどころがわからない連中、あとは好きで裏にいるやつぐらいだ。


 頭はよくないが、少しの飴でよく働く働きアリだ。

 ちょっといいもの食わせて、ちょっといいとこ住ませてやれば、こっちが裏切らない限り一生ついてくる。

 もともと違法行為で食いつないでたようなやつらだ。

 たとえ相手の顔を知らなくても、おいしい思いをさせてくれるなら、どんなことでも……


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 いや、ほんとなんで金融流行ってるんだろうね?

 いろんな貴族の元にも儲け話が舞い込んできてるみたいで、他国にも波が広がってるとかなんとか。


 はじめは怪しいと疑った人も多かったみたいだけど、どうやらちゃんと配当は払われてるみたいで、配当をそのまま投資する人がほとんど。

 プラスで資金を入れる人も多いとか……


 いやぁ、こんな高金利私も買いたいわ。

 ホントウナラ……


「フローラ拡大率はどんな感じ?」


「まだまだ順調ですね」


「そう。引継ぎ先も決まってるんでしょう?」


「はい、こんな金のなる木くれるのかと大喜びでしたよ」


「ぎりぎりまで、大きくしてから渡してあげましょう」


「はい」


 全く関係がないけど、ポンジ・スキームっていい言葉だよね。


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