第35話ここはどこ?

 部屋の片隅で本を読んでいるとお母さんの声が聞こえてくる。

「耐えれない。ここには絹の服や銀のかんざしもないわ」

「ここには着る物もあるし、食べる物もある。何不十分なく暮らしてるじゃないか」

 おじいちゃんはお母さんの頭を優しく撫でる。

「いやよ。いやよ。いや。」

 お母さんは大きな声で泣きはじめる。おじいちゃんは困った顔をする。

「お母さん、、、」

 お母さんの腕をつかむ。私を見る事なくお母さんは私の腕を振りほどく。




 ・・・う。

「いや~。よかったですよ。倒れたところをちょうど通りかかって」

 外から聞いた事のない声が聞こえる。

 どこ?

 荷物が積み重ねられていて床がカタンカタンと揺れる。

 馬車?


 !!!


 見知らぬ顔がいきなり近くに表れる。

「目覚めみたいだよ」

 馬車の後ろの皮布をあける。

 まぶしい。

 暗くてよく見えなかったが黒髪の色が白く顔が整った、リー様よリ手のひらぐらい背の低い男性がいた。


「ユナ、大丈夫か?」


 そういえば下腹部が重く、痛い。月のものだ。ぜんぜんなかったのにくるなんて。

 どぉどぉと馬車が止まる。

「ユナ、大丈夫か?」

 ファンリーは馬車に乗り込でくる。

「おまえはバカか!男子禁制だ」

 ファンリーに親指ではじいた豆を投げつける。

「バカだと!おまえも男じゃないか」

 額あたった豆など、気にせずファンリーは抗議する。

「玉鈴、ダメだよ。そんな事をいっては、せめて女性に疎いとおしゃらなければ」


「フン、バカはバカじゃないか」

 玉鈴は横を向く。

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