第14話 それぞれの道

 新入りがすぐ身請けされると他の子たちが落ち込むから外でまってなとファンリーは店の外でまっていた。

 表通りから横にそれた所にあり、飲み屋や娼館が立ちならんでいる通りの為、この通りの朝は静かだった。

 店の裏口からユナは身一つでてきた。

「持っていく物はないのか?」

 この娼館を出ていくというのに極力荷物を減らした自分自身の旅の荷物よりすくない事にファンリーは驚いた。

「はい。この衣もここの物なのでもらっていいものなのか。私がきた時の衣は汚かったの捨てられてしまったので」

 お客を取るための綺麗な着物から女主からユナに支給された古着にユナは着替えていた。

「そうか。たぶんその服はもらっていいとおもうぞ」

 着替えとかも必要だよな。表通りにいって一緒にいろいろそろえた方がいいなぁ。

 ユナは娼館の外観をみる。来たときは下を見ていてよく見ていなかった。こんな所だったんだな。どんな仕事の所かしってるけどご飯をたべさせてくれて殴らなかったなぁ・・・。


「いくか」

 ファンリーは表通り歩いていった。

「はい」とユナは返事をしてファンリーの後についていった。



「いったか」

 女主は店の外に出て見つからないように見送る。後からヒョン爺もでてくる。

「よかったな。いい身請け人そうで」

「どうだかね」

 変な男に身請けされるよりこの娼館で娼婦をしていた方がよっぽどかいい暮らしができる事を女主もヒョン爺もわかっていた。身請けされた所で娼婦だった過去は消されずにひどい扱いを受ける事も多くあった。女主は知っている為に身請け金額ももちろん?かなりあるが無茶をいいその感情の起伏を見て身請けするしないを決めていた。


「あの子は境遇がにてるから思い入れあったんだろう」

 ふんと女主は横を見る。


「いつも思うよ。昔の俺に金があればなぁと」


 ヒョン爺はこの店の娼婦の子供で幼い頃この店の外で遊んでいた。

 いつもの様に遊んでいると全身傷だらけの茶色の大きな瞳が印象の子供を母親が遊んでやりなっとつれてきた。

「名前は?」

「エリク」

 言葉をしゃべれないのか自分の名前を一言だけいう。

「俺の名前はヒヨンだ」

「ヒョン」

「違う。ヒ・ヨ・ンだ」

「ヒョン」というとエリクはにっこりと笑った。

 その笑顔みてヒョンでいいよとエリクに伝えた。

 わかったのかわからないのかエリクは首を縦にヒョンヒョンと言いながら振った。

 同じように下働きをしながら二人で成長していった。

 ある日をさかえにエリクは下働きをしなくなった。エリクはその日を知っていたのにヒョンにはひと事も言わなかった。

 その日、ヒョンは泣きながら店を飛び出した。

 そしてエリクが客を取らなくなるまで帰ってはこなかった。


「いまも金がないじゃないか」

 じっろっとヒョン爺をにらむ。

「そうだな」

 エリク。

 女主の名前をヒョン爺はこころの中で呼びかける。

「こんな因果な商売をしてきて元気でおまえとお茶を飲めるだけでいいんだよ。この馬鹿が」

 ヒョン爺はじっと女主をみる。


 ふっと女主人は笑う。


「夜はこれからだ。商売商売。いくよ」

 女主は気合を入れ直し店に入っていく。

 ハイハイとヒョン爺は女主について娼館の中に入っていった。


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