第4話

 決勝

 三枝VS藍川

「神田の思いを受け継いだ俺が、お前を倒す」

 背後に神田の守護霊のようなものが浮かんだ三枝が拳を前に出す。

「オレがお前の全てを叩き潰す。巨人狩りジャイアントキリングの時間だ」

 バスケ部ベンチと長距離走者の戦い。異種格闘戦にしてはジャンルが違い過ぎる。


 それを可能にするじゃんけんがすごいのか、それともこんなことに全力を尽くしているこの馬鹿共がすごいのか。


「手加減手抜かりなし」

 二人が深呼吸をする。

「「最初はグー!!」」


「「じゃん!!」」


「「けん!!」」


「「ポン!!」」


 お互いの手はグー。あいこ!


「「あい!!」」


「「こで!!」」


「「ショ!!」」


 チョキであいこになる。


「「あい!!」」


(ここでチョキを突っ張るか? それとも、さっきと同じようにパーを選ぶか?)

 最速で思考する。ここで勝てばメロンパンを手にすることができる。

(イメージしろ。メロンパンを食べる自分の姿を。神田の想いを背負った勝利を)


「「こで!!」」


(オレは勝つ。勝ってベンチとしての実力を見せる。そして、ワンチャンレギュラー入りする!)

 1ミクロンたりとも無い可能性を背負い、藍川は手を決める。




「「ショ!!」


 藍川の手はパー。

 三枝の手はグー。




 第三者の手。それが二人の首を掴む。


「授業開始のチャイムが鳴ってるのが、聞こえなかったのかぁ?」

 教師の左右の腕を打ち合わせるように振るわれる。


「あべら⁉」

「ヘブライ⁉」

 藍川と三枝の額がぶつかり、床に崩れ落ちる。


「お前ら後で職員室な。オーシ、授業始めるぞ」


 教員の力には勝てない学生たちの戯れ。




「雪見のメロンパンってどこで買ってるの?」

「秘密のパン屋」

 雪見の隣で景品のメロンパンをもそもそと食べる朝野は雪見に聞くも、答えてくれなかった。


 雪見の戯れでじゃんけんする羽目になった、藍川と三枝は職員室でこってりと絞られるのはまた別の話。


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高校生がじゃんけんするだけ みない @minaisan

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