最終章 幸せのシナリオ

幸せな筈の前を見据えて

第49話 家計の事情で引越しを考えるイスカ

本当に色々あった。

だけど.....此処まで行き着いた。

単位認定試験を終えれば.....ひと段落である。

つまり.....バーベキューとか開催出来る。

速水勇も捕まったから、だ。


千佳は家に帰った。

いや。正確には戻った、が正しいか。

本来の場所に、だ。

それは本当に良かったと思う。


4日経った日。

テストモードに入った大学。

俺は.....その事を思いながらテスト勉強をする。

そして雪さんと春香さんの勉強の計画も立てる。

自室で、だ。


そうしていると.....俺の部屋のドアが開いた。

それから.....夜空が顔を見せる。

俺は?を浮かべながら夜空を見た。


「どうした?」


「お兄ちゃん。1つ悩んでいる事があるんだけど.....相談に乗ってくれる?」


「.....良いけど.....どうした?」


「.....実はね。.....お父さんの事と私の将来の事なんだけど.....」


「?」


ん?

俺は目を丸くしながらパソコンを閉じる。

それから.....夜空を見る。

夜空は、私ね。高校を辞めようかなって思ってる、と言った。

え、と思いながら俺は.....夜空を見る。


「何というか.....お父さんも結構頑張ってはくれているんだけどね。.....私が負担なんじゃないかって思っているの。.....学費面とかで」


「.....そんなことは無いと思うが.....」


「.....でも家計はまだイマイチ苦しいよね。.....だからなんとかしないといけないかなって。小説を成功させて一歩を踏み出そうかなって思ったの。10万円ぐらいは軽く儲けれる様になったし.....極めたい」


「.....うーん.....」


でも。

俺は考えながら.....パソコンをひと撫でしてから夜空に向いた。

そして笑みを浮かべてから真剣な顔をする。

駄目だ夜空、と。

夜空は目を丸くした。


「.....実はな。俺、その家計の面とかで考えていた事があったんだ」


「.....え?何を?」


「俺、家を出ようと思っている」


「.....それって一人暮らしするの?」


「.....ああ。家賃とか賄ってな。.....あくまで一人暮らしをな」


夜空はビックリしながら俺を見る。

それだったら家計の負担が減るだろうしな、と答える。

それに俺は正社員になる予定だ。

だからボーナスも出る筈だしな、と。

貯金もしたし大丈夫じゃないだろうか。


「.....ゴメンね。お兄ちゃん。何だか追い出す様な形になってない?」


「俺が望んでしたんだ。だから問題無いさ。大学の近くで住む場所を探そうと思ってな」


「そうなんだね」


「ああ。.....もう独り立ちしないとな。大人に近付いているし、大学生だし」


「お兄ちゃんが決めたんだから仕方がないけど.....何だか寂しくなるね。それって」


ゴメンな。今の今まで黙っていて、と俺は頭を下げる。

夜空は、ううん。お兄ちゃんの事信頼しているし、と笑顔を見せた。

俺はその言葉に、有難う、と笑みを浮かべた。

勿論.....その場合には家系を支える為にお金を振り込む予定だ。


「.....夜空。高校だけは行ってくれ。中卒は.....高卒より難しいぞ。就職が。だから.....保険は大切だから」


「.....分かった。お兄ちゃんが言うならやっぱり止める。みんなもそう言うだろうし」


「有難うな。夜空」


「それはこっちのセリフだよ。お兄ちゃん。ゴメンね。本当に」


そして俺たちは笑み合ってから。

そのまま夜空を俺は見る。

でも夜空。お前はすごいよな。その才能、と言う。

夜空は、たまたまだよ、と苦笑いで恥じらう。


「本当にたまたまこんな才能があっただけ。.....だから、ね」


「でもな。人に誇れるぞこの才能は」


「.....確かにそうかもね。.....でも誇ろうとも思わないし.....それに影から活躍するのが小説家だと思うしね」


「.....そうか。まあお前がそう言うなら」


「うん」


そして夜空は、あ。でも住む場所の候補は決まっているの?、と聞いてくる。

俺は、今の所は候補は挙がってないな、と首を振る。

すると夜空は顎に手を添えた。

そして、じゃあ千佳さんのアパートに住んだら?、と提案してくる。

え?.....いや。それはどうかと思うんだが。


「あそこって空き部屋あるの?もし有ったら良いね」


「いや。決めるなよ。.....そもそもそれじゃ千佳が落ち着かないだろ」


「でも大学との距離も考えるとそれが良くない?」


「.....まあ確かにそうだけど」


まあ確かにそうなんだけどさ。

俺は溜息混じりに夜空を見つめる。

夜空はマジな感じで顎に手を添えて思い浮かべていた。

俺と千佳が暮らす姿だろう。


「.....でもマズくね?やっぱり」


「でも家賃安いよね?あそこ」


「管理人さんも良い人だけど.....うーん」


「じゃあ第一候補だね」


「それでいこうか」


そういう表現だと気楽だ。

考えつつ俺は、夜空。幾つか候補を挙げるから一緒に決めてくれないか、と提案。

すると夜空は頷いた。

それから笑みを浮かべる。


「.....良いよ。一緒に決めようね」


「.....だな」


すると電話が掛かってきた。

誰かと思ったら雪代先輩である。

俺は?を浮かべて夜空に断ってから、もしもし?、と出る。

すると、私を呼んだかね?、と話した雪代先輩。

な!?


「もしかして聞いていたんすか?」


『いや。カンだね。君が家を出るかもしれないと聞いていたから』


「.....雪代先輩。それって怖いっすよ」


『アハハ。まあ良いじゃないか。それにしても一人暮らしやるんだってね。.....じゃあ私の助けが要るね』


「え?.....いや。良いっすよ!?」


散々君は私を助けてくれたのにか?

私が何もしない訳にはいかないだろう。

と苦笑でもしてそうな笑い方。

俺は、でも、と言うが。


『私に任せろ。これでも人脈は凄まじいから。.....だから決めさせてくれ。良い物件を探すよ』


「.....分かりました。じゃあ任せます」


『Wi-Fiとか付いていた方が良いよね。家具とかも。.....無ければ無い物は全部私が一括で買おうかな』


「何言ってんすか!!!!?駄目ですよ!」


それぐらいやらせてくれ、と雪代先輩は笑みを浮かべた様に言う。

お金はその為にあるんだと思うしな、とも。

この人マジか、と思ってしまったが。

こうなってくると本気で止められないしな、と思い。

お礼を今度、奮発する事にしてから.....雪代先輩に頭を下げた。


「本当にこの恩は忘れないです」


『私が言った事だからね。問題無し、だよ』


「.....はい。.....あ。そういえば今日はデートだったんですよね?長谷川先輩と」


『ぶはっ!何処で聞いたんだい!?』


大学内で噂で持ち切りだしな。

考えながら.....俺は苦笑いを浮かべる。

だって雪代先輩の留年年数とか考えると有名になるだろうし。

失礼ながらも長老の様な存在だしな.....。


「.....風の噂ってやつです。.....上手くいきました?」


『.....そ、そうだね。うん』


「可愛いですね。雪代先輩」


『もー。五月蝿いよ。大人を揶揄っちゃ駄目だよ』


「アハハ」


と。とにかく。

住居を直ぐ探すからね、と慌てる様に電話が切れた。

俺はその事に、クスクス、と笑いながらスマホを直す。

すると夜空が聞いてくる。

漫画を読みながら、だ。


「大丈夫そう?」


「.....ああ。.....雪代先輩には感謝しかないな。本当に」


「.....良い人だよね。本当に」


「.....ああ」


まさか家具を買うと言い出すとは。

本当に困るとしか言い様が無い。

雪代先輩が幾らお金持ちであっても迷惑だと思うのに。


考えながら俺は、うーん、と雪代先輩へのお礼品に関して悩んだ。

そして夜空に向く。

相談する為に、である。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る