新たな全て

第26話 漫研の同好会を作ろう

翌日の事だ。

雪さんが遊びに来た。

俺と夜空は雪さんを迎えながら.....リビングに招き入れる。


そんな雪さんの格好だが.....かなり可愛い服を着ている。

ブラウスにスカートという感じで決めている感じだ。

俺はその服装を可愛いと思いつつ雪さんを見る。


「今日はお招き頂きまして有難う御座います。いー先生。そして夜空ちゃん」


「そんな改まらなくても良いよ。雪さん」


「そうそう。雪」


「一応ね。.....私のお母さんから教わっているから」


「礼儀正しい家族なんだね」


そうですね、と俺に回答する雪さん。

俺はその姿についつい笑みを浮かべてしまう。

雪さんもそんな俺に笑みを浮かべる。

すると夜空が割り込んできた。


「はいはい。イチャイチャしないの」


「オイオイ。イチャイチャしている訳じゃ無いぞ夜空」


「そ、そうだよ。夜空ちゃん」


本当に?、とジト目になる夜空。

俺は頷きながら苦笑い。

夜空は溜息を吐きながら、分かったから、と言う。

それから、じゃあ何をする?、と聞いてくる。

俺達は顎に手を添える。


「いー先生の部屋に行きたいです」


「.....え?早速?」


「そうです。いー先生の部屋に行きたいです」


「わ、分かった。じゃあ行こうか。部屋に」


それから俺達は移動をする事にした。

夜空も入って来る様だが.....3人も入れるかな。

心配げに思いながらも何とか入れた。

取り合えず.....良かった。


「狭い部屋だから。すまない」


「.....これが男の子のお部屋.....」


「雪。あまり見ないの。目の毒だから」


「失礼だなお前」


雪さんは、アハハ、と苦笑いを浮かべる。

さて。それは良いんだが何をするんだ?、と俺は聞いてみる。

すると、わ。私に面白い漫画を教えてくれませんか、と言ってきた。

俺は目を丸くしながら雪さんを見る。

雪さんは鼻息を荒くしていた。


「.....面白い漫画.....か。そうだな.....どちらかと言えば夜空の方が知っているんじゃ?」


「私に振るの?お兄ちゃん」


「駄目か?」


「いや駄目に決まっているでしょ。雪はお兄ちゃんに教えてもらいたいんだから」


こくんこくんと頷く雪さん。

期待の眼差しを俺に向けてくる。

俺は、うーん、と悩む。

どんな漫画が好きかな、と思いながら、だ。

それから取り合えずは雪さんの好きな物を教えてくれないかな?、と聞く。


「私ですか?.....私、バトル系です」


「.....以外だな。雪さんがそれ系に興味があるなんて」


「私、熱中出来るものが好きなんです。何故かといえば.....格好良いからです。絆が深いからです。.....だから好きなんです」


「成程ね。.....それで好きなんだ?」


「はい」


そうなると雪さんにお勧めな漫画は.....うーん。

そうだな、あれとこれかな。

BLE○CHとか.....俺好きだし。

読んでいるかもしれないけど。


「BLE○CHはまだ手を出してないです。面白いですか?」


「最後がアレかも知れないけど面白いよ。俺はお勧めするかな」


「えー?お兄ちゃんそれがお勧め?私はスウォ○トだよ」


「ジャンプのかなり前の打ち切り漫画じゃないか!!!!!」


懐かしいけどそれはアカンやろ。

相当前の打ち切りの漫画だよそれ.....。

思いつつ夜空を見ていると。


じゃあ保○室の死神とか?、とも話す。

エ○グマとか食戟○ソーマとか。

面白いけど.....半分はマイナーだろ。

だけどそんな姿に.....クスクスと雪さんが笑った。

楽しそうですね、と、だ。


「漫画って色々有るんですね」


「そうだな。ジャ○プは打ち切りもあるけど面白いぞ」


「ジャン○以外もね」


「だな.....うん」


「楽しそうです。やっぱり漫画買い集めようかな.....」


教えた漫画を全部渡してみる。

そして熱中して雪さんは読み始めた。

俺はその姿を確認しつつ.....夜空を見る。

夜空は、良かったね、と言う感じだ。

っていうか何でマイナーな漫画ばかりだ?、と聞いてみる。


「.....だってマイナーって結構面白いのも有るよ?ハズレもあるけど。それにあまり人気作だと雪が読んでいるかもしれないから」


「まあ確かにな」


「だからマイナーにしたんだよ。.....それにしても漫画って面白いよね」


「まあな.....確かにな」


漫画のマイナーさか.....。

その点を配慮する必要があるのは忘れていたな。

思いつつ.....俺は雪さんを見る。

雪さんは一生懸命に本を読んでいた。

とても楽しそうに見える。


「.....雪さん。面白い?」


「そうですね。とても面白いです。有難う御座います。夜空ちゃんも」


「面白いって言ってくれて嬉しいわ」


「.....だな」


そして俺と夜空を柔かに見てくる雪さん。

それから夜空が寄って行く。

そうしてから内容を教えていた。

俺も漫画を読むか、と思いながら漫画を取り出す。

その際に.....本棚の奥を見てしまった。


「.....」


千佳との思い出.....か。

俺は思いつつ思い出の薄い本を隠している本棚を見ていると。

夜空が寄って来た。

どうしたのよ?、と、だ。

俺は慌てつつ、何でも無い、と答えた。


「そう?なら良いけど。何でボーッと突っ立っているのかと思ったわ」


「.....まあ人には色々あるから」


「?」


「気にすんなって事だよ。つまり」


このまま考えても仕方が無い。

思いつつ漫画を取り出してフローリングの床で読み始めた。

取り出した漫画は有名な漫画だ。

何にせよ大学のサークルの課題にもなるだろうしな。

読んでいて損は無いと思う。


「面白いですね。BLEAC◯」


「.....だろ?俺は好きだからな。特に絵が」


「確か作者さんは新しく.....」


「そうだな。また連載を始めたよ。今度読ませてあげるから。.....今は単行本をまだ買ってない」


「そうなんですね。是非楽しみにしておきますね」


次々に漫画を読み進める雪さん。

俺はその姿を見つつ夜空を見ると。

夜空も漫画に熱中していた。


だけどそれは料理漫画だ。

多分.....俺に料理を作る為に読んでいるのだろうけど。

考えつつ漫画に目を落とす。

その漫画はまた最初から読んでいる漫画だ。


「.....そういえばお兄ちゃん」


「何だ」


「サークルって漫画研究部なんだよね?高校生も参加出来るのかな」


「いや。それはどうなんだろうか。分からん」


「もし良かったら私も参加したいなって思ったから。だからね」


お前が?、と俺は驚いた眼差しを向ける。

うん、と頷く夜空。

それに.....お兄ちゃんと親密になれるしね、とニヤニヤした。

雪さんが、ずるいよ!夜空ちゃん。私も.....、と言い出す。

だけど雪さんはサークルに参加する時間は無い。


「雪さんは無理だろ。.....勉強で時間が無いから」


「.....うう.....ですよね」


そしてシクシクと口で音声を発する。

俺は、可哀想だけどな、と思いながらも。

でもちゃんと与えられた事はしないとな、と思う。

俺は雪さんの家庭教師だから。


「だから私だけでも入部出来ないかなって。放課後に」


「うーん.....大学がどう思うか.....」


「甘い大学だから大丈夫でしょ。アハハ」


「いやいや。舐められたもんだな!オイ」


「アハハ」


それから俺は盛大に溜息を吐く。

そして.....、まあでも分かった、と伝えた。

そうしてから、大学側には何とか言っておくわ、と。

すると夜空は目をキラキラにして、有難う、と言った。


「とっても楽しみ。アハッ」


「でも無理だった時は諦めろよ。きちんと」


「そうだね。無理な時は仕方が無いから。.....諦める。多分」


「多分!?」


「だって絶対とは言えないよ。お兄ちゃん居るし」


それはそうだが.....無理な時は潔く諦めてもらわないと困る。

思いながら俺は苦笑気味で夜空を見る。

全くもう。

夜空は、アハハ、と笑みを浮かべていた。

俺は額に手を添えながら.....その笑顔を見る。


「私も参加したいなー」


「.....まあ仕方が無いな。こればっかりは」


「そうですよねー.....嫌だな」


「.....何か配慮出来ることがあったらするよ。雪さんにも取り敢えずは」


「有難う御座います。言ってくださるだけ嬉しいです」


笑顔になる雪さん。

まあでもどっちみちにせよ無理だとは思うけどな。

大学に高校生、普通に考えれば無理だ。

思いつつ顎に手を添える。

さてどうしたものか。


「まあ無理だったら.....そうだね。私達で漫研創ろうか」


「.....え?」


「は?」


漫研を作るってのはどういう意味だ。

思いながら俺は夜空を見る。

夜空は、ふふーん、と胸を張った。

それからニコニコする。

漫研は楽しそうだから、と、だ。


「私、雪、明日香、千佳さん、お兄ちゃん。的な感じで、だよ」


「そんな滅茶苦茶な。そもそもみんな忙しいんだぞ。無理に決まって.....」


「だから代わりばんこで此処を部室にするの」


「.....此処は俺の部屋だぞオイ.....」


だが雪さんが直ぐに目を輝かせた。

良いですね!!!!!、と、だ。

いかん。乗ってしまった。

これは困ったな。


「この場所が活動拠点だとやりがいがあります!」


「いや.....だから」


「良いじゃない。お兄ちゃん。変なものを置いている訳でも無いし」


「いや.....あのな.....」


勝手に俺の意見も無しに進めるな。

此処を活動拠点?

そんな馬鹿な真似が許される訳が無い。

俺は思ったが.....ニヤァッとした。

夜空が、だ。

な、何だ。


「エッチな本の在処を知っているんだけど私」


「.....おい。それはどういうのだ」


「.....胸の大きな女性の雑誌」


「夜空ァ!!!!!」


俺は夜空にぐりぐりした。

頭を、だ。

イッタイ!、と夜空は叫びながらバタバタする。


何時の間にそんな事をしていたんだ!

と思いつつ雪さんを見る。

雪さんは赤面していた。


「.....変態ですね.....いー先生」


「.....」


「アハハ」


「夜空。.....お前.....ハァ.....」


もう良いや。

どうにでもなれ、と思う。

諦めてしまった。

俺は盛大に溜息を吐きながら、だ。


そして部活動が俺達の手で創られるという話になり。

みんな手を挙げて、はーい、と賛同した。

いや、するのかよ.....。

何でだよ.....。

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