銃後の獣・五
夜が来る。インクを塗りたくったような夜空にかすかに明滅する星が見える。
風はない。スモッグのような埃のような、鼻腔をくすぐる何かが街の乾きを告げている。
今日も俺は一人だ。もう追う者はいない。逃げ切ったといっていいだろう。
新しい銃はまだ見つからない。俺には銃がいる。一人でいいように、一人になるように、俺には銃がいる。
今度は身を守るためではない。崩し、倒し、奪い、糧を得るための力が必要だ。
今までは逃げながらだった。食えない日もあった。食ったら食ったでゴミとも屑ともつかないような、ただの餌だった。
今は自由だ。好きに奪い、好きに食い、好きに潤す。そのためにも、俺には銃がいる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます