銃後の獣・五

夜が来る。インクを塗りたくったような夜空にかすかに明滅する星が見える。

風はない。スモッグのような埃のような、鼻腔をくすぐる何かが街の乾きを告げている。

今日も俺は一人だ。もう追う者はいない。逃げ切ったといっていいだろう。

新しい銃はまだ見つからない。俺には銃がいる。一人でいいように、一人になるように、俺には銃がいる。

今度は身を守るためではない。崩し、倒し、奪い、糧を得るための力が必要だ。

今までは逃げながらだった。食えない日もあった。食ったら食ったでゴミとも屑ともつかないような、ただの餌だった。

今は自由だ。好きに奪い、好きに食い、好きに潤す。そのためにも、俺には銃がいる。

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