第13話十条雪(じゅうじょうゆき)


同世代と接するのが苦手だった


5歳年上の兄貴にひっついて遊びに行くことが多かったから周りは年上ばかりだった


小学生の頃は同級生と遊んでたけど、中学生になってから、兄貴にバイクに乗せてもらって、いつも兄貴についていった。同級生がゲームセンターやカラオケに行く中、僕は兄貴や兄貴の周りの人達とクラブやライブハウスに行っていった


それ自体が楽しいかどうかより、背伸びしてることに何か感じてたんだろうなと今は思う


それに、同級生と居るよりも兄貴や兄貴の周りの人達といる方が楽だった


その環境の影響で髪を染めてピアスをあけた

大人ぶってるとか、かっこつけてるとか、反抗期だとか、そんなつもりはなかったけど、同級生とは距離というか、壁ができた

できたというと自然な感じだけど、単に僕がつくっただけかもしれないけれど


でも、それで良かった


苦手になってしまったのに無理に接する必要は無い






ちゃんと勉強はして高校に行くこと


両親と兄貴との最低限の約束だった


同級生で同じような身なりをしてる奴とは、関心を持たれて向こうから接触してきて多少は関わりはあったけど、彼ら彼女らはちゃんと学校に通ったり勉強をする類のタイプじゃなかったから深くは関わらなかった


僕もたまにさぼったりしたけど、素行や成績は平均以上はあった


おかげで、ちゃんとしたぼちぼち中の上あたりの進学校に進学することが出来た




兄貴はバンドでの音楽活動にのめり込み過ぎて単位が足りず大学を留年してる


そうして前みたいにバカ騒ぎも出来なくなった


兄貴には、高校生になったんだし歳の近い連中と同じことすればいいだろと胃われたけれど、どうにもやっぱり苦手で僕は親しい友達が出来ないでいた



兄貴の周りの人達も遊んでくれたけれど、専門学生や大学生の人達は段々就職活動やら更なる進学や資格習得への取り組み、仕事をしてる人達もそれを機にしたかのように会社の方の付き合いを気にするようになったりと、段々落ち着いていって集まる事も減っていった



それに感化されたのか分からないけれど、僕もピアスを外して髪を黒くしてアルバイトを始めて大人しくなっていった



それでも、これまでの習慣からか、時折クラブやライブハウスには1人でも行く


慣れ親しんだものは急には変えれないものだ



これまでの夜遊びの習慣で眠れなくなって、丁度良かったのもあったし



今年3年生になって少しした時のこと


とても驚いた事があった


まさか、クラブにクラスメイトが居たとは


僕が通う学校はそこそこ進学が多いどちらかと言うと真面目な学校だし、大人しい生徒が比較的多かった


夜遊びしそうな生徒もあまり見受けられないように思った


まあ、クラスメイトでさえそんな関わって無かったし僕がそう思ってただけかもしれないけれど


そこに、足立桜さんは居た


そんなに接点もないのにぐいぐいくる足立さん


なんだかペースが狂わされてるような気がするけど、不思議と悪い気はしなかった



一体なんだろうなのか



僕と足立さんの偶然から始まった不思議な関係性


どうしたものだろうか



他人事のように思うけど、当事者なんだよな



まぁ、困ってる訳では無いから良しとしよう



ただ、少しだけ垣間見えた足立さんが抱えてるモノが胸の隅でざわつく


悪い薬ではないから良いのだろうけれど、薬を飲むほど眠れなくて


でも普段学校ではそんな素振り見せなくて


少し不安と心配を覚える


原因は少し話してくれたし、それ以上僕から根掘り葉掘りというのも気が引ける


友達、、、寝れない友達、、寝れない友達ってなんだ


まあなんにしても、3年生になってようやく、それなりに遊んだりする友達が僕にもできた



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