スノードロップ国物語-月光姫の幸せへの導-

曇珠櫻 妃麗

本文

母親

「さぁ、早く寝るよ。」

子供1

「お母さん!いつものお話聞かせて!!」

子供2

「聞きたい!聞きたい!!」

母親

「わかったよ。じゃぁ、始めようか。とあるところに…」


とあるところにスノードロップ国がありました。

その国はとても大きくこの世界の80%が国土でありました。


そしてこの世界は1年中、冬景色でありました。

四季はありましたが、雪は降っておりました。


春にはピンク色の花びらの形をした雪

夏には水色の清涼感を持った雪

秋には橙色などのモミジの形をした雪

冬には白い雪が降っていました。


その美しい国には2人のお姫様がいました。

姉のお姫様は月光げっこう姫、妹のお姫様はあかつき姫と言いました。


暁姫は夜を明るくする太陽のように明るく、そして優しいお姫様でありました。

月光姫は月の光のごとくとても静かで、慈しみ深いお姫様でありました。


この国の国王は2人の姫を平等に愛しておりました。

第1妃殿下は自分の愛娘である暁姫だけを愛しました。

第2妃殿下は月光姫を産んで次の日に亡くなってしまいました。


とある日、お城でパーティーが開かれていました。


国王

「皆のもの、よく集まってくれた。本日は私の愛する月光姫の誕生日である。盛大に盛り上がってほしい。月光姫、挨拶を。」

月光姫

「本日は集まっていただきありがとうございます。私は、体調がすぐれないので失礼させていただきます。では、パーティーをお楽しみください。」


月光姫が会場から出て行ってしまいました。

それを見た第1妃殿下はとてもいい気味だと思っておりました。


妃殿下

【はぁ、なんであの女はこんな使えない娘を残したのかしら。姫は暁だけでいいのに。本当に、邪魔をしてくれたわね。】

暁姫

【お姉様の誕生日パーティーなのに、いつもどっかに行ってしまわれます。どうしてなのでしょうか。】

国王

【母親が亡くなったのだ。皆も知っていることだ…早く、傷が癒えるといいのだが…。】


月光姫はいつも第2妃殿下の部屋にいるのが恒例となっていました。


月光姫

「お母様…私は、どうすればいいのでしょうか。」


そう呟くと、目から一筋の涙が流れていました。

すると、どこからともなく声が聞こえてきました。


男性

「ま〜た、泣いてんのかよ。よっと。」


その男は、窓から中に入ってきました。

その男は、月光姫の筆頭ナイトでした。

その名はサクと言いました。


月光姫

「サク。」

サク

「あぁ、パーティー盛り上がってたぞ。はい、これワインな。」

月光姫

「いらないわ。」

サク

「何かあったのか?思い詰めた顔してるぞ。」

月光姫

「昨日、お父様から婚約の話が来たの。」


月光姫の口から婚約の話が出るとは思っていなかったサクは、ワインが入ったグラスを落としてしまいました。


サク

「あ!悪りぃ!!!」


サクは、ワインを片付けながら月光姫と話をしていました。


サク

「それ、妃殿下知ってるのか?あの人、姫さんのこと嫌ってるだろ?」

月光姫

「妃殿下は知らない。」

サク

「それで、相手は誰なんだよ。」

月光姫

なぎ公子こうし。」

サク

「凪公子!?」


凪公子とは、この国唯一の公爵家の子息でありました。

凪公子は月光姫のことをとても好いておりましたが、月光姫は誰とも婚約も恋をするつもりはありませんでした。

ですが、妹の暁姫は凪公子に想いを寄せていました。

第1妃殿下は暁姫の想いに気づいておりました。

想いに気付いていたのは月光姫も同じでした。


月光姫

「妹は凪公子のことが好き。私は好きじゃない。妹が婚約相手ならよかったのに。」

サク

「あぁ〜、うん、これは修羅場になるぞ。どうせ、妃殿下は気付いてんだろ?姫さん、消されるぞ。」

月光姫

「そうね。あの人ならやりかねないね。まぁ、お母様の元に行けるならそれでいい。お父様も私の誕生日が来るごとに思い出して悲しまなくていいから。」

サク

「姫さん…」


そう、第1妃殿下には黒いうわさが絶えない方でした。

一部の噂では、第1妃殿下が第2妃殿下を殺したと噂されておりました。

少し前、パーティー会場に遅れて凪公子が到着しました。


「国王様。」

国王

「あぁ!凪くんではないか!」

暁姫

【え?!凪様!?】

「凪様!お久しぶりです!」

「あぁ、姫様お久しぶりです。あの、月光姫はいらっしゃいませんか?」

暁姫

「あ、えっと…お姉様は体調を悪くされて…」

国王

「あぁ、あの子なら母親の部屋にいるだろう。行くといい。」

「はい。では、失礼させていただきます。」

暁姫

「あ、はい。」

妃殿下

【あら、凪公子はあの娘にご熱心なのね。ふ〜ん、相変わらず面倒な親子ね。】


凪公子はその後、月光姫のいるとされる第2妃殿下の部屋に来ていたが、サクと月光姫の会話を聞いてしまいました。


部屋の中から

月光姫:妹は凪公子のことが好き。私は好きじゃない。妹が婚約相手ならよかったのに。

サク:あぁ〜、うん、これは修羅場になるぞ。どうせ、妃殿下は気付いてんだろ?姫さん、消されるぞ。

月光姫:そうね。あの人ならやりかねないね。まぁ、お母様の元に行けるならそれでいい。お父様も私の誕生日が来るごとに思い出して悲しまなくていいから。

サク:姫さん…


「好きじゃ…ない?やっぱり…そうか。でも、月光姫の命だけは絶対に守ってみせる!!!」


この会話を聞いたことにより、凪公子の月光姫に対する想いは強くなりました。

それから数日後、国王が月光姫を自室に呼び出しました。


国王

「どうだ?婚約の件は、結論は出たかい?」

月光姫

「はい。お断りします。」

国王

「え?どうしてか、聞いていいか?」

月光姫

「私は、結婚する資格はありません。」

国王

「それは、母親のことを言ってるのか?」

月光姫

「そうです。凪公子様の婚約相手は妹にしてください。私は、お断ります。」


と、月光姫は頑なに公子との婚約を拒みました。

国王はとても、不思議に思いました。


月光姫

「では、失礼します。」

国王

「そうか。」


月光姫は、そう言い残し部屋から出て行ってしまいました。

その頃、暁姫は母親の第1妃殿下と一緒にいました。


暁姫

「お母様、お話ってなんですか?」

妃殿下

「月光姫と凪公子との婚約の話が出てきたのよ。」

暁姫

「え、婚約?…う、そ…」


暁姫は、この話を聞き大変驚いておりました。


妃殿下

「嘘じゃないわ。かわいいかわいいあなたじゃなくてあの娘なのよ。」

暁姫

「凪様はお姉様のことを選んだ…」

妃殿下

「大丈夫よ。私が、絶対に阻止してみせるわ。」

暁姫

「お母様?」


この瞬間、妃殿下は決心しました。

暁姫は、ショックを受け数日間引きこもりました。


この日から、それぞれの想いがすれ違い、歯車がだんだん狂い始めました。

それから数日経ちました。


ある日、お茶会が開かれていました。

そのお茶会には多数の貴族の娘たちが招待されておりました。


娘1

「本日はお招きいただいて光栄ですわ!暁姫様!」

暁姫

「いえいえ!皆さんとお茶を楽しみたかったのです!」

娘2

「月光姫様はいらっしゃらないのですか?」

暁姫

「お姉様に招待状はお出ししたのですけど…嫌われてしまっているのかもしれません。」

【本当は、お出ししてなんかいません。】

娘3

「なんて薄情な!!ひどいですわ!!!


そう、このお茶会は第1妃殿下が仕組んだものでした。

月光姫は、何も知らずに庭を散歩していました。


月光姫

「騒がしい。」

サク

「姫さん知らないのか?今日、暁姫主催のお茶会が開かれてる。」

月光姫

「招待状…」

サク

「あぁ、いつもは招待状来るもんな。今回きてないんだな。ん?これ、おかしくないか?」

月光姫

「多分、仕組まれた。」

サク

「じゃぁ、これから行くか。ちけーし。」

月光姫

「どうでもいい。どうせ、消される運命。」

サク

「そうはいかねーよ。」


するとそこに、とある人物が現れました。


「どうされたんですか?」

サク

「これはこれは、凪公子様。手違いで招待状が姫様に届いておらず、今更お茶会に参加しても無駄だろうとお考えなされているのです。」

「そうでしたか。では、私が一緒にいきましょう。」

月光姫

「それは結構です。私の婚約者でもないあなたとなんて参ることはできません。」

「そう、ですね。しかし、ここを案内しているとしたらどうでしょうか?」

サク

「そうですね。…それはいいですね!凪公子様は城内にしかいらしたことがありません。お庭で迷われてしまい、たまたま姫様に出会い、案内を私が勧めたということにしたら全てが丸く収まります。どうですか?姫様。」


この企ては妃殿下側にとって予想外のことでした。


月光姫

「拒否権ないでしょ?ご案内を兼ねまして、これからお茶会が開かれている中央庭園に参りましょう。」


中央庭園に月光姫、凪公子、サク筆頭ナイトが現れました。


月光姫

「こちらが最後となりますが中央庭園です。」

サク

「こちらは、お茶会などがよく開かれております。」

「さすがですね。?あちらにいらっしゃるのは…」

月光姫

「あら、お茶会が開かれているようですわ。妹がいるので妹が主催してるのではないでしょうか。」

「では、挨拶をしに参りましょう。」


そして、凪公子は月光姫をエスコートし、暁姫に挨拶をしに行きました。


娘1

「あれ?向こうから来られてるのって…」

暁姫

【どうして…お姉様が!!】

月光姫

「ごきげんよう皆様。まさか、お茶会が開かれているなんて知りませんでしたわ。」

娘3

「え、招待状を無視されたのですよね?」

月光姫

「招待状などもらっていませんわ。」

「それは、おかしいですね。」

サク

「まさか、暁姫様が姫様を陥れるために故意に招待状が姫様に届かないようにしたなんてことは、ありませんよね?」

暁姫

「!…まさか、そんなわけないですよ。ちゃんと出しました。」

「そうでしたか。杞憂で良かったです。」

暁姫

「どうして、凪様と一緒に?」

「国王陛下にお会いした帰りだったのですが、国王陛下にぜひ庭を見ていくといいと勧められたため庭園に来ていたのです…恥ずかしいことに初めてだったため迷ってしまいまして。偶然、散歩をされていた月光姫とお会いしましてこれまでの経緯をお話ししたら筆頭ナイト様が…」

サク

「私が、姫様にご案内と道案内をなさったらどうかと提案しましたところ姫様が、迷っている方を放って置けない、とおっしゃってご案内をなさっておりました。」

暁姫

「そう、ですか。よければご一緒にどうですか?」

【なんで!!!婚約も白紙になったのに!!!どうして!!!!お姉様ばっかり、凪様と親しくなってしまうの!?】

娘2

「そうですよ!月光姫様も一緒にどうでしょうか!」

月光姫

「大変ありがたいですが、最近、あまり体調がよくないので遠慮しますね。」

娘1

「そうでしたの!?外出して大丈夫なのですか!?」

月光姫

「えぇ」

サク

「姫様は、少し食欲が落ちているだけですから皆様のご心配には及びません。では、姫様のお体に触ってはいけませんので失礼させていただきます。」


これを自室から第1妃殿下はこっそり見ていました。

これが、第1妃殿下をとても苛立たせてしまいました。


月光姫は自室に戻りました。


月光姫

「サク。」

サク

「大丈夫か?顔色どんどん悪くなってるぞ。」

月光姫

「別に大丈夫。最近、食べ物が…」

サク

「それって、毒じゃないのか?なんで、早く言わなかったんだ!!」

月光姫

「心配、かけたくなくて…」


サクの考えたことはあっていました。

月光姫の食事担当は第1妃殿下の手先でした。

食事には少量の毒が盛られており、体内に蓄積され死に至るものでした。


サク

「姫さん、何も口にすんな!寝てろ!陛下に話に行ってくる!代わりのナイトは姫さんもよく知ってるやつを回す!」

月光姫

「わかったわ。」

【まさか、こんなことになるなんて…。毒、これは処罰対象になるわ。】


サクは国王の元に事実を話に向かいました。

そのあとすぐに、代わりのナイトが月光姫の元に来ました。

そのナイトはサクの幼馴染でありました。

ナイトではありましたが、情報収集などを主にしているナイトでありました。

そのナイトの名は朧と申しました。


おぼろ

「姫様。」

月光姫

「朧。」

おぼろ

「サクが合図出したからね。すぐに、駆けつけたよ。僕たちだけの合図で全て把握したよ。毒らしいね。もしかして、昔話してたことがまた繰り返されるかもしれない。」

月光姫

「お母様を殺した毒…それが証明できれば…私が実験台になればいい。」

おぼろ

「姫様!!それは、しないでください!!!国王陛下が悲しまれますよ!?」

月光姫

「大丈夫。お父様は私のことお母様の生き写しだと思ってるだけだから。」

おぼろ

「それは絶対にありません!!!」


サクは国王陛下と自室で2人きりでお話をしていました。


国王

「どうした?」

サク

「極秘裏にお話がございます。月光姫に毒を盛られている可能性が出てまいりました。」

国王

「どうゆうことだ!?」

サク

「姫様は噂を信じてお母様について調べていらっしゃいました。そして、第2妃殿下の死に疑問を持ち始めました。姫様は少しの手がかりから毒の使用があると疑われました。そのことから犯人は第1妃殿下であると思っていらっしゃいます。」

国王

「そ、それは…妻が妻を殺し娘まで殺そうとしているってことか!?」

サク

「そう申し上げております。少し長くなりますがお話しさせていただきます。今回の事件は婚約騒動から始まっていると考えられます。凪公子ですが姫様に好意を寄せられていますが、姫様は全くもって興味はありません。ですが、暁姫は凪公子をとても好いていらっしゃいました。暁姫の好意は第1妃殿下と姫様は気づいていらっしゃいました。姫様は自分の命が狙われる危険性に気づきました。そして、前々から極秘に進めていた第1妃殿下の捜査を強化なさいました。すると、数日前急な人事異動がありました。その人物を内密に調べ上げたところ第1妃殿下の手先のものが食事担当に配属されておりました。こちらも関係あると思いますが、今日開催されていたお茶会ですが姫様は招待状すらもらっていらっしゃいませんでした。ですが、お茶会の参加者には暁姫が、招待状は出したがお姉様は来られなかった…嫌われてしまったかもしれない、とおっしゃいました。これは、明確な姫様潰しがおはじまりになられています。この一件ですが、姫様はお母様が殺された真実を究明なさるおつもりです。」

国王

「…これは。どうしたものか…」


この発言の元、国王は頭を抱えてしまいました。

妻が妻を殺し、その上娘まで殺そうとしてる事実に国王はショックを受けました。


国王

「娘はなんと言っているんだ?」

サク

「自分を実験台にしてでも証拠をつかむつもりでいらっしゃいます。まぁ、我々は実験台にさせるつもりはございません。絶対に証拠を掴み断罪させます。それまで、この事実は伏せておいてください。宮廷医の派遣ですが体調不良のためとしていただきたいのです。」

国王

「わかった。私の1番信頼する医師を派遣しよう。」

サク

「ありがとう存じます。では、失礼いたします。」

国王

「月光姫の警備を厳重化しなさい。」

サク

「わかりました。」


その後、月光姫の部屋に宮廷医が派遣されました。

外には体調不良が悪化ししばらくの安静が言い渡されたと発表されました。

実際は、毒の解明、解毒が優先されていた。

数日経っても、月光姫の毒は分かりませんでした。


月光姫

「毒は?」

サク

「まだ、わかんねーよ。体の調子は?」

月光姫

「日に日に足が動かし辛くなってる。後、睡眠時間が増えてるように感じる。」

サク

「そうか。散歩でも行くか?車椅子だけど。」

月光姫

「いいわね。」

サク

「護衛は俺と朧がいればいいだろ。」

おぼろ

「そうだね。じゃぁ、行こうか。」


ナイトたちと月光姫は庭園に散歩に行きました。

その散歩で、城内の人間が久しぶりに月光姫に会いました。


国王

「おや、庭園に珍しい人がいるな。」

月光姫

「お父様。」

国王

「サクと朧が護衛か。」

サク・朧

「はい。」

国王

「そうか。体調は?」

月光姫

「いえ、あまり。」

国王

「そうだろうね。顔色があまりよくない。症状は聞いている。」

月光姫

「申し訳ありません。」

国王

「謝る必要はない。ただ、見守ることしかできないのが心苦しい。」

月光姫

「いえ、お父様が悩む必要はありません。では、失礼しま…ゴホゴホ」


月光姫は突然咳き込んでしまいました。


サク

「姫様!!!大丈夫ですか!?」

おぼろ

「ゆっくり、息を吸ってください!」


2人は月光姫をとても心配し、迅速に処置を始めました。

その後、月光姫はベットから動けなくなってしまいました。

そう、第1妃殿下の毒はそこらじゅうに仕込んであったのです。

その毒も解明することは難しく、どんどん月光姫の体に蓄積されていきました。

その数日後、大きな発見がありました。


サク

「姫さん!!!」

月光姫

「どう、したの?」

サク

「毒が判明した!!!!!!」

月光姫

「そう。」

おぼろ

「はい。第1妃殿下が薬学に精通しているのは知ってますよね?あのお方は新種の毒を開発されそれを使っていたのが判明しました。」

月光姫

「そう。その毒は…」

サク

「ローズ、アイリスで作った毒だ。今、解毒薬を作ってる!!後は、全ての証拠を叩きつけるだけだ!」

月光姫

「そう。クリスマスは…お父様の誕生日…それ…までには…見つけて。」

サク・おぼろ

「はい。」


それから国王が信頼しているものたちで真相究明されていた。

そして、多数の証拠が出てきました。

その証拠を公にし、逃げ道や口封じを無くしてしまえば断罪できるところまできました。

月光姫の容体もよくなりました。

まだ車椅子での行動ですが、解毒薬がどんどん症状を改善していきました。

12月22日


月光姫

「お父様。」

国王

「あぁ、証拠が揃った。24日に前夜祭が開かれる。そこで、断罪するべきだ。その際にお前が正式な後継者だということも発表する。」

月光姫

「そうでしたか。妹はどうなるのですか?」

国王

「処分については、お主に任せる。当日も自分の口から言うと良い。」

月光姫

「承知しました。では、失礼します。」


その日の夜、月光姫は母親である第2妃殿下の部屋に来ておりました。


月光姫

「サク、いるのでしょう?」

サク

「あぁ、いるぞ。」

月光姫

「話があるわ。あなたと朧は隣国であるホオズキ国の王子よね?」

サク

「!?どうして、そう思ったんだ?」

月光姫

「国王様はとてもお優しい方。それに、お母様のお兄様でもある。お母様の日記を見つけたの。そこには国王様はお母様の侍女に恋心を持ち王妃様に内緒で逢瀬をしていた、と。そして、お母様がこの国で妊娠が発覚したとどう時にその侍女も姿を消したらしいの。そして、その侍女が双子を出産をし亡くなってしまったとお母様に知らせが来た。国王様は私生児を自分の子供と公言することもできなかったとお母様に手紙を出していたの。お母様はその私生児が苦労しないように手配したらしいわ。そして、サクと朧は違う家のまえに捨てられた。その二つの家はこの国のナイトを務めており奥方がとても子供想いなお家だったそうよ。で、身元がわかるようにネックレスをカゴに入れたらしいの。」

サク

「これ、か?」


サクから見せられたのは蛇の形をしたネックレスでした。

朧には炎が刻まれた石のネックレスでした。

ホオズキは別名、カガチ・オニビとも呼ばれていたのです。

その別名がネックレスとして渡されていました。


月光姫

「そうよ。ホオズキはカガチとかオニビとも呼ばれているの。蛇と炎よ。気づいたようね。2人は二卵性の双子でホオズキ国の王子よ。ホオズキ国には次期国王様もいらっしゃるから後継者争いにはならないと思う。お母様は2人が安全に暮らせるようになったと連絡を受け、私を産んで、殺された。これは、お母様が話して欲しいと日記に書いてあったから話した。朧もどうせ聞いていると思うし…」

おぼろ

「よく気づいたね。そんな事実があったんだ。」

サク

「そっか…。」

月光姫

「これが事実。2人で今後どうするか決めて欲しい。」

おぼろ

「僕は姫様にずっとついていくよ。」

サク

「あぁ、俺もな。」

月光姫

「よかった。嬉しい。24日のクリスマスイブ、決行する。」

サク・おぼろ

「わかった。」


次の日、12月23日

それぞれの想いが交差しておりました。


妃殿下

【あぁ!明日!明日、あの娘を殺せば!!!!!暁だけが輝けるわ!!!!!】


暁姫

【お姉様、なぜ死んでくれないの!?私が次の国王になるの!!!そして、凪様と結婚するの!!!】


国王

【明日、か。】


【いよいよ、明日、月光姫の命は安全になる。】


サク

【あぁ、明日か。明日で姫さんは遠い存在になっちまう。この気持ちは伝えるべきか、伝えないべきか。】


おぼろ

【明日で全てが終わる。サクの背中を押しますか。】


月光姫

【これで、サクと朧を重責から解放できる。…なんで、胸が痛むのかな。…この気持ちに名前をつけてしまったら…私はどうなってしまうのでしょう。】


そして、運命の日。

12月24日のクリスマスイブとなりました。

前夜祭が開かれ、全員が集結しました。


国王

「今夜は私のために集まってくれたことに感謝する。皆に報告がある。月光姫を正式に後継者と決めたことを報告する。」

妃殿下

【嘘でしょ!?どうして!?そんなそぶり、一度もなかったのに!!!それに、この娘!毒が効いてないの!?】

暁姫

【う、そ…】

国王

「月光姫から話をしてもらおう。」

月光姫

「はい。後継者となりましたので挨拶させていただきたいのは山々ですが、ご報告がございます。私が体調を崩していたのは皆様の周知かと存じます。原因は新種の毒に侵されたことでした。ローズとアイリスから作られたものでした。そして、この毒は第2妃殿下にも使われていたと思われます。堕胎薬としての効果もあるそうです。症状につきましては、最初は睡眠時間が増えることでした。その次に体の自由がだんだん無くなっていきます。この症状はお母様にも現れておりました。この毒は誰にも知られておりませんでした。ですが、この毒を作れるものがいるのは事実です。秘密裏に調査を進めたところ、第1妃殿下の部屋から毒の入った瓶が10本発見されました。」

妃殿下

「嘘よ!!!!私を貶めるためにやっているのよ!!!!!!!」

月光姫

「うるさい、黙りなさい。証拠はございます。こちらに、薬を作るための器具を購入した証明書があります。全て、第1妃殿下が買っていました。その薬は食事に含まれていましたが、例外に花瓶や布団、ソファーやお風呂などに塗布されておりました。その塗布した痕跡が発見されるのは決まって、妹と2人きりでお茶をした日でした。妹を調べたところ、第1妃殿下から瓶をもらい私の部屋にこっそり持ち込んでいることが確認できました。全て、宮廷医とお父様のナイト様、そして凪公子にも確認していただきました。毒を仕込んだ使用人たちは全て地下牢に閉じ込め、拷問したところ、全員が第1妃殿下と暁姫に命令されたと答えました。それぞれの部屋からも私の私物、不正なお金の流れが出ております。これにより、私は後継者として第1妃殿下は斬首刑とします。使用人たちも斬首刑に処します。妹に関しましては、恋心が捩れ嫉妬のあまり利用されたと考えています。平民に降格し、身一つで追放とします。以上です。このようなことになり申し訳ありません。これで、私の暗殺未遂、そしてお母様の暗殺の証拠とさせていただきます。では、失礼いたします。」

妃殿下

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!!!!!!!」

暁姫

「う、そ…ぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」


月光姫は涙を流しながら、訴えました。

その後、国王により第1妃殿下と暁姫、使用人に処分が下されました。

その日は、前夜祭は予定通り行われ第2妃殿下を慕っていた貴族たちは喜びました。

第1妃殿下の配下だったのものは暗殺に関与した可能性があるとして調査されたそうです。

国王はパーティー会場におりましたが、月光姫は第2妃殿下の部屋に行っていました。


月光姫

「お母様。全て、終わりました。」

サク

「大丈夫か?」

おぼろ

「やっと、できた。」

月光姫

「やっと、仇が打てた。2人のおかげ、ありがとう。」

おぼろ

「僕は国王様に話してくるよ。サク!気持ち伝えろよ!!後悔しないようにね。」

サク

「おい!」


朧はそう言い残すと消えてしまいました。

2人の間に微妙な空気が漂いました。


サク

「姫さん、話がある。」

月光姫

「何?」

サク

「伝えないほうがいいかと思った。だけど、気持ちに嘘はつけねぇ。俺は、姫さんのことが好きだ。」

月光姫

「う、そ…」

【あぁ、この気持ちに名前がついてしまった…これは、恋だわ。この気持ちに嘘は、つけないものね。】


少しの沈黙の後、月光姫が話し始めました。


月光姫

「私も、サクのことが好きです。」

サク

「!!!」


月光姫をサクが抱きしめました。


母親

「2人は国王様に許しをもらいホオズキ国の王子として月光姫と結婚しました。暁姫は平民として静かに暮らしたそうです。国には平和が戻り、国民全員が幸せになったそうです。サク王子と月光姫は2人の家族と末長く幸せに暮らしましたとさ。終わり。」

子供1・子供2

「すぅ…」

母親

「やっぱり、寝たかい。このお話は長いからね。もう少し2人が大きくなったらきっとこのお話をもっと分かれるだろうよ。2人には、幸せになって欲しいからね。」


End

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