雨ザーザー

ティロリロリーンティロリロリーンティロリロリーン(爆音)

「うるさ」

「おはようさん」

「今何時?」

「お前にマジ」

「そういうのいらない何時?」

「今3時じゃの」

「おやすみ」

「おやすみ」


ティロリロリーンティロリロリーンティロリロリーン(爆音)

「うるさ」

「おはようさん」

「今何時?」

「何時だと思う?」

「マジそういうのいらない」

「4時」

「おやすみ」

「おやすみ」


ティロリロリーンティロリロリーンティロリロリーン(爆音)

ウーーーーーーー(爆音)

ザアアアァァァアアアアア(大粒)

「寝れんな、寝れん!」

「寝れんなら寝んでいい」

「眠いんじゃいこっちは」

「アンタどうするんぶちサイレンなりょーるで」

「誰?」

「ストーカー」

「納得、で?どうすりゃいいと思う?」

「避難すりゃええ思う」

「雨降りょーる?」

「降らんにゃこんなザーザー言わんじゃろ」

「逃げれんよこんな暗いし雨降っとるし避難所までどんだけ時間かかると思っとん」

「じゃけぇ雨ヤバそうじゃね言うたんよ」

「アンタ第一話そんなこと一言も言っとらんかったじゃん」

「第一話のなんやかんやんところで一人で呟いとったんよ」

「分かるわけないじゃろ」

 そんな馬鹿みたいな会話を不審者と繰り広げている間に、どんどん雨足が強まっていく。

ティロリロリーン(超爆音)

「なんでうちの家族こんな大音量なって皆寝とるん頭おかしいじゃろ」

「まあそりゃ不審者が家に平然と入ってきとってもほとんど反応せん娘がおる家庭じゃけぇのぉわしからすりゃ納得じゃが」

「この家山の斜面に建っとるんで?山崩れたら一溜りもない」

「だいたいこの広島っていう地はのぉ、雨に慣れとらんのよのぉ。じゃけぇ土砂災害も頻繁に起こるんじゃ」

「そんなんどうでもいいけぇどしたらいいん?」

「詩織何一人で喋りよるん気持ち悪いんじゃけど」

「おはよう美空」

「ん?あー、一人で喋りよると思ったらなんかもう一人おったわ。こんばんは」

「おお、こんばんは。礼儀正しい妹じゃのぉ」

「いつもはこんなんじゃないで」

 最近は雨がすごい。もう梅雨は終わりましたよお天気さん。広島県はほんとに土砂災害が起こりやすいんですよ皆さん。でも私はあったことないんで避難したらいいタイミングが分かんないんですよね。

「詩織心の声漏れてるよ気持ち悪い」

「気持ち悪いが口癖なのどうにかした方がいいと思うよ気持ち悪い」

「気持ち悪い気持ち悪い言いすぎじゃアンタら気持ち悪い」

「他人は入ってこんとってくれる?」

「ごめん」

「いいよ…」

「え、この家避難準備とかしとるん?」

「一応しとるけど、避難する気?」

「うーん…どっちでもええわ」

「あっそ」

 皆さんはこんなんにならないように、避難はお早めにね、私が言える立場じゃないけど…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

広島さんが私を離してくれない 猫田 @kantory-nekota

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ