第3話イタズラ開始

大島家おおしまけ集合しゅうごうしてから八日後ようかご、イーサンはダンボールをって午前五時三十分ごぜんごじさんじゅっぷんいえた。

あるいて十分後じゅっぷんご武田たけだ合流ごうりゅうした。

そこからさらにあるくと神島かしまんでいる団地だんち到着とうちゃくする、そこで四人よにん合流ごうりゅうする。

あるいてすこしすると、おおききな廃墟はいきょえてみきた。

神島かしまによると、元々もともと中型ちゅうがたのスーパーマーケットだったそうだ。

「そういえば、まだこわしがされてないな。」

「そうだね、つぶれたのいつだっけ?」

去年きょねん八月はちがつだな。」

いま七月しちがつわり、もうすぐ一年いちねんぎるころだ。

そして団地だんち到着とうちゃくしたイーサンと武田たけだは、四人よにん合流ごうりゅうした。

全員ぜんいんそろったね。神島かしま連中れんちゅうはもうすぐるか?」

「ああ、もうすぐトラックとワゴンしゃるぜ」

六人ろくにん団地だんち広場ひろばかった、連中れんちゅうはここでふくダンボールを販売はんばいするのだ。

団地だんち広場ひろばいてから五分後ごふんごちかくの駐車場ちゅうしゃじょうにトラックとワゴンしゃ駐車ちゅうしゃした。

神島かしまがイーサンに「あれがそうだ」とおしえた。

トラックから二人ふたり、ワゴンしゃから五人ごにんりてきて、販売はんばい準備じゅんびはじめた。

ブルーシートをいて、トラックからろしたダンボールを七人しちにんならべていく。

ダンボールがならえられたタイミングで、イーサンはってきたダンボールを、べられたダンボールにまぎませた。

あとつだけだ。」

イーサンは広場ひろば木陰こかげ五人ごにんかくれた。

ふくダンボール、ふくダンボール!しあわせいっぱいのふくダンボールだよ~」

拡声器かくせいきから陽気ようきなかけごえながれた、そして団地だんちからアリのように人々ひとびとあつまってきた。

本当ほんとう人気にんきだね。」

「ああ、ニ十分にじゅっぷんもしたらぐにれだ。」

つぎからつぎへとふくダンボールがれていく、イーサンが仕掛しかけたダンボールもだれかがっていった。

「よし、きゃくがダンボールをった。さあて、どうなるか?」

風間かざま、カメラはいいか?」

「ああ、大丈夫だいじょうぶだ。」

風間かざまはイタズラの記録きろくとして写真しゃしん撮影さつえいをしている。

二学期にがっきになったら、写真しゃしんをクラス新聞しんぶんせるのが目的もくてきだ。

ふくダンボールが完売かんばいし、連中れんちゅう後片付あとかたづけをしていると、あかいダウンコートをたおばさんがおこったかおでずかずかあるいてきた。

「あ!あのおばさん、はなってる」

「あのひとが、イーサンのイタズラにかかったんだ。」

武田たけだ斎藤さいとうった。

「ちょっと、これはどういうことだい!!」

おばさんは連中れんちゅう一人ひとりであるおとこに、はなきつけた。

「え、なんですか、これは?」

「なんですかじゃないわよ!今朝けさったふくダンボールに、これがたくさんはいっていたの!!」

「うちでははなあつかっていません・・・。」

「じゃあこれはどういうことよ、説明せつめいしなさい!!」

おばさんのヒステリックな怒声どせいが、広場ひろばひびいた。おとこ迫力はくりょくされ、こまったかおになった。

「いやあ、わたし販売担当はんばいたんとうなので、どういった理由りゆうでこうなったのかはわかりません・・・。」

「わかりませんってったってそうはいかないよ、わたしはいつもこのふくダンボールにたくさんの食品しょくひんがあることをしんじてってきたんだ。わたし生活保護受給者せいかつほごじゅきゅうしゃ毎月まいつき六万四千円ろくまんよんせんえんしかもらえないんだ。団地だんち家賃やちん水道光熱費すいどうこうねつひはらったら、残金ざんきん一万弱いちまんじゃくしかのこらないんだよ!しかもこのご時世じせいものきづらいなかで、一箱七百円ひとはこななひゃくえんでたくさんのものっているあんたらは素晴すばらしいとおもったよ。でもこんなはななんてりつけられたら、わたしかなしいんだよ。そりゃはなきだけど、いまはなより食料しょくりょうなんだよ!」

おばさんの弁論べんろん苛烈かれつきわめていた。

本当ほんとうもうわけありません!代金だいきん返金へんきんいたします。」

「いいよ、七百円ななひゃくえんくらい。そのかわりつぎおなじことがあったら、あたしはもうないからね。」

おばさんはくと、っていたはなをポイてして団地だんちへとっていった。それをていたイーサンは、面白おもしろそうにわらった。






つぎも、おなじイタズラをした。

今度こんどのニセふくダンボールには、文道ぶんどう提案ていあんしたヘビやものなどのおもちゃがまれている。

そしてこのもニセふくダンボールをったきゃくがいた、みどりのジャンパーをたおばさんだった。

「ちょっとあんた!!これはなんだい!!」

そのおばさんはかおにして怒鳴どなりながら、ダンボールの中身なかみ一気いっきとした。

ちたヘビやもののおもちゃを人々ひとびとは、悲鳴ひめいをあげた。

「みんないて、ただのおもちゃよ。」

おばさんがまわりの人々ひとびとをなだめた。

「・・・あの、これは一体いったい?」

連中れんちゅうおとこうと、おばさんはふたた怒鳴どなりだした。

「それはこっちのセリフよ!!ダンボールをけたらこんなガラクタがはいっていたのよ!いまはガラクタだとわかったから平気へいきだけど、けた瞬間しゅんかん本物ほんものだとおもって、こしけてしまったよ!」

「あの、本当ほんとうわたしにもわかりません。」

「じゃあ、どうしてこうなったのよ!!」

今回こんかいもおばさんのヒステリーに、おとこなにえない。

だれわる従業員じゅうぎょういんがいるにまってるわ、そうでしょ?」

「それは・・・。」

「おや、てならないはなしだね。」

昨日きのうおこっていたあのおばさんが、ってはいってきた。

「あら新田にったさん、どういうこと?」

昨日きのうふくダンボールをったら、なかから花束はなたばてきたの。あなたよりはまだいいけど、イタズラがぎるわ」

「そうよ、これは詐欺さぎ詐欺さぎ!!」

そのおとこは、二人ふたりのおばさんとそれに同調どうちょうした人々ひとびとによる、罵倒ばとうのリンチをけた。





その翌日よくじつ今回こんかい武田たけだ風間かざま合作がっさく仕掛しかけられた。

そのふくダンボールをったのはわか主婦しゅふだった。

その主婦しゅふあとを、イーサンと武田たけだ風間かざまった。

その主婦しゅふ自身じしんいえはいるのを確認かくにんすると、風間かざまがコントローラーを操作そうさした。

「きゃあ!!」

主婦しゅふ悲鳴ひめいとドンというおおきなおとがした、おどろいてどこかにぶつかったのだろう。

「よし、いいかんじだ。」

「もっとこわがらせてやる。」

風間かざまがコントローラーのボタンをした、すると主婦しゅふ顔面蒼白がんめんそうはく玄関げんかんからした。そして三人さんにんとおぎて、階段かいだんした。

「すごいな・・・。どうしてあんなにビビったんだ?」

「ダンボールをればわかる。」

イーサンがひらいたままの主婦しゅふいえ玄関げんかんのぞきこむと、ダンボールから不気味ぶきみうなごえこえた。

「なにこれ、いつのにそんな機能きのうくわえたの?」

「ああ、風間かざまのアイデアだ。われたダンボールってな」

イーサンは武田たけだ風間かざま脱帽だつぼうした。





三人さんにん団地だんちからてくると、ビジネススーツ姿すがた女性じょせいがイーサンにこえをかけた。

「やってるわね、イタズラ」

「あ、結子ゆうこちゃん。」

「ちゃんはめて、さんとびなさい。」

「おい、だれた?」

風間かざまがイーサンにたずねた。

大丈夫だいじょうぶぼくおな大島おおしまさんの仲間なかまだから。」

「そういうことよ。さっきちかくで仲間なかまたわ、大島おおしまからいていたけど派手はでにやってるわね。」

無愛想ぶあいそう表情ひょうじょう友近結子ともちかゆうこった。

「すごいでしょ?」

「いいけど、調査ちょうさ邪魔じゃまめてよね。」

三人さんにん結子ゆうこわかれて、仲間なかまもとかった。



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