第4話

 どのみち、私が東京に就職が決まれば恭一は大阪の企業に勤務しているので

遠距離恋愛となる。こういうのは私には向いていないので、遅かれ早かれ別れることになる。


 なら、今。

 まだ、諍いがないうちに。

 きれいな二人のままで、別れたほうが

 遺恨を残さずに済むのでは……。


 そんなことを私は考えていた。

 寂しいだろうか、

 一人になってもやっていけるのだろうか、

 恭一の背中の温かさを忘れてしまっても良いのだろうか。

 なおという女に渡してしまっても、

 忘れる事ができるのだろうか。

 自分に他の男がキーホルダーのようにスペアがいくらでもあると思えるのだろうか。それほどに私たちの関係はチープなものなのだろうか。

 そこに愛などはじめからなかったのだろうかなんて思っても、相手に伝えないと分からないの。そんな馬鹿な女。いや、所詮こんなものじゃない? 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る