短編

からす

ゆうすけの日記

○月×日 王様の命令とやらでお城に呼ばれた私はあれやあれよと言う間にヒノキの棒と勇者という称号を押し付けられて魔王某とやらを倒す旅に出なければならなくなった。どうして私が行くのかは不明な上倒すまで故郷に帰っこれないようにされてしまった。ヒノキの棒しかないのは心許ない。明日少しでも強い武器を探しに行こう。


○月△日 甘かった武器屋を回れば武器が売っていると考えたがどこに行ってもヒノキの棒と竹の槍しか売っておらず竹の槍に関しては家が立つほど高価だったありえねぇもうまじ無理。


○月◎日 昨日は竹の槍に絶望して不貞寝してしまった仕方がないので他の町の武器屋に行って武器を更新したいと思う。



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△月a日 やっと魔王がいるという集落の目の前まで来たこれまでにあったことはやっぱりヒノキの棒しか売ってない町の武器屋を通り過ぎたことと伝説の券の装備制限に引っ掛かり装備できなかったことくらいなのでそう大したことではないだろう。

今日はもう寝て明日に備えよ…











「し、し、死にたく、死にたくない」 

 またか、私は何度も何度もやってくる国の勇者の対策を考えイライラしたところに人影が見えたのでついやってしまったが地溜まりに沈んだ彼が持っていた日記帳を見るにおそらく勇者だろうからセーフということにした。

「これで何回目だよ」

 思わずつぶやいてしまうのも仕方ないだろう。ここに来る勇者は大体自分の持ち物に名前を書いているのだが前の勇者の名前は『ゆうすく』更にその前の名前は『ゆうすき』だったのだから。最初の頃の『ああああ』などは私に傷をつけられるような強者で装備も良いものだったのに今は『ヒノキの棒』に『布の服』と言った初期装備しか持っておらず私の奇襲にも対応できないという体たらく。そんな害虫のように湧いてくる勇者の始末に頭を悩ませていたのだからやはりセーフ?だろう。

そう考え私は勇者の持っていた日記帳を燃やし帰路についた。

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短編 からす @karasu8823

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