　今日から一日の流れを全て自分でやり、少しでも疑問や不安がある時だけラスさんに確認するという方法をとった。昼休み前に一度だけドンさんに進捗状況を説明すると、電話案内業務の進み具合にもよるが、一ヶ月後に難易度の高い仕事を任せられそうだと言われた。

　白雪さんの派遣先は男女5人ずつの会社だった。健康器具を独自に開発し、インターネットで販売する。開発と広告制作担当は、男女共に無口で気難しそうだった。ピノさんみたいな人が増えたな、と思った。対照的に、面接の時に会った人事と庶務を兼ねた女性は、一番良く喋った。毒舌なところはあるが、仕事を教えてくれるのが口を開くのが苦ではない人で安心した。

　夜、宮迫さんは電話で述希に、一日通して自力で務めた感想を尋ねた。緊張したが無事終え達成感を得た事を話したら、宮迫さんの声が一段と明るくなった。そして、白雪さんが職場に馴染めそうだと教えてくれた。