第7話 告白その一

「僕は、ロビン様に仕える魔人だ。本当なら、今日の晩御飯の材料を買いに、近所のスーパーに行く予定だった。けれど……

 こうして、あなたと遭遇してしまったことでスーパーに行くどころか僕の、悪魔としての生命いのちが終わりを告げることになろうとは……不運としかいいようがない」

「それで?」

 毅然たる口調で神使いが尋ねる。

「お前は、ロビンと会って、どうしたいのだ?」

 またしても予想外のことが起こり、僕は驚いた。僕を、封印しないのか……?

 予想外のことに戸惑いつつも僕は、静かに口を開く。

「下級悪魔にも勝てないのに……こなんなに情けなくて弱い僕を、ロビン様は温かく受け入れてくれた。時に厳しく、叱ってくれた。たくさんたくさん愛情を注いでくれた。

 だからこそ、ロビン様にいいたいんだ。いつまでも弱い存在でごめんなさい。こんな僕だからこそ、もっともっと強くなりたかった……もっと……ロビン様に仕える魔人として役に立ちたかった。こんな僕を愛してくれてありがとうって」

 あふれ出しそうな涙を必死に堪え、肩を震わせながら僕は、精一杯の笑顔を浮かべた。

 僕は今日、封印される。神使いとしての使命に燃える彼女の手で。悪魔として、魔人としての人生に終止符が打たれる。

 それなら最期くらい会いたい。大好きなロビン様に。僕にとっては偉大な方で、愛する人ともう一度……会いたい。

「……だそうだ。いつまでも隠れていないで直接、声をかけてやってはどうだ?ロビン」

 凜然たる神使いの呼びかけに応じるように、黒髪に黒いマントを風に靡かせて、長身の男の人ロビン様が、僕の面前に姿を現した。

「どうして……何故っ……」

 面食らった僕の口から言葉が出てこない。完全にパニックに陥っていた。

「どうにも心配で……あなたが屋敷を出た時からこっそり後を付けて、見守っていました」

 困ったように笑いながら、ロビン様が申し訳なさそうにそう告げた。僕は声にならないくらい驚いた。恥ずかしさのあまり赤面もした。今の告白を、ロビン様に聞かれてしまった。その恥ずかしさったら……穴があったら入りたい!

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