スキルの研究をしよう

とりあえずお父さんに山籠もりを報告した後


私は家の裏の山で魔法を出すためのトレーニングをしていた。


お父さんは頭を抱えて渋々オッケーしてくれたみたいだけど。


『くれぐれも無理をしないように。絶対だぞ?』


と釘を刺されてしまった。


私、そんなに無理しようとしてるように見えるのかな…?


まぁまた死ぬわけにはいかないしほどほどに無理しないようにするけどね。


…とこの話はこれくらいにしておいて。


この前の金髪のお姉さん…メイドのリリンさんに聞いたところ


魔法を覚えるために必須な魔導書はかなり希少なものらしい。


うちみたいな位の高い貴族でもあんまり手に入らないんだとか。


たくさん持ってるのは王族くらいみたい。


「お父さんが貸してくれた魔導書はこの風魔法の一冊だけ…」


お父さん曰くうちにあるのはこれを含めた二冊で


もう一冊は私にもあんまり貸したくないらしい。


貴重なのもそうだけどとても危険な魔法なんだとか。


だけどこの魔導書の魔法を全て覚えることが出来たらもう一冊である


代々家に伝わる魔導書を貸してくれるらしい。


風魔法は全部で3つ


初級のエア


中級のエアブラスト


上級のエアバースト


全部っていうのはすこしきついけど…


がんばれば行けるかもしれないからちょっと頑張ってみよう。


「手を前にこう突き出して…エア!」


《スキル:風初級魔法 エアを取得しました》


…ん?スキル?


風魔法をスキルで取得したってこと?


「チエちゃん。これって習得できたってこと?」


《はい。スキルとして魔法を取得することで


魔導の真髄の効果で威力が上がります。


あと他の魔法と混ぜることができるようになります。》


私のスキルチートスギィ!


まぁそもそもチエちゃんの時点でチートなんだけど。


前に読んだラノベでは死ぬときに考えていたことが


そのままスキルに反映される…なんて展開があったけど


私も何か考えてたからこの力が手に入ったのかな?


そもそもどんなこと考えてたらこんなチート能力もらえるんだろ。


まぁ何でもいっか。


「では本題に入りましょうかチエちゃん」


《本題…とは?》


「私が山にこもった理由は何だったかな?」


《対人関係が不安だったからでは?》


「私、そこまで陰キャじゃないよ!」


この子は私のことなんだと思ってるんだ。


私だってそこまで引きこもりじゃないよ。


《では何の理由で?》


「私の世界の武器を作ります。」


《マスターの世界の武器ですか?》


「うん。創造のスキルなら作れると思うしそれに魔法を合わせれば向こうでは出来ない武器が作れると思ってね。」


《なるほど。そういうことでしたか。それで…何を作るのですか?》


「ひとまず銃を作ろうと思ってるよ。」


《銃ですか?》


「うん。私の前世のお兄ちゃんがものすごいミリタリーが好きでね。


いっつもいろんな話を聞かされてたんだ。」


そのおかげで私も色々と覚えちゃったんだよね。


この知識ほとんど使わないのに。


でもこの世界ではとっても必要だから覚えてて良かったかな。


「さて…まずは銃本体を作ってみようかな…創造!」


とりあえず私の中にあるイメージを形にして銃を創造してみる。


出来上がったのは本体が長く銃口が大きく広がる銃だ。


本来なら使いにくそうな感じだけど…。


この銃はこれでいい。


撃つのは銃弾じゃなくて魔法だからね。


《魔法を放つ銃ですか…考えましたね。》


「普通の銃じゃこの世界だと使えない気がしたからね。


創造で作るときに魔石をセットする場所を作ってみたんだ。」


創造のスキルは細かいところまで想像することでこういう細かいところも作りこめるみたい。


想像の10倍くらい便利だなぁ…。


でもまぁ肝心の魔石はないんだけど…。


魔石は上位のボスクラスのモンスターの体内にしか精製されないから探すのが難しいって本に書いてあったからな…。


どうしたものか…。


《索敵のスキルを取得しますか?》


「索敵かぁ…確かにあれば探せるかもね…うん。取ろうかな」


《スキル:索敵を取得しました。》


「よし。チエちゃん。とりあえず上位種のモンスターを探してくれる?」


《了解しました。この付近で上位種のモンスターを探します。


…ダメですね。見つかりません。》


「そう簡単には見つからないかぁ」


そもそもここら辺にはモンスター自体があまり生息していない。


そこそこ栄えていて対策が取られている…というのもあるだろうけど…


何かほかに理由があるような気もする…。


まぁそこら辺は考えても仕方ないけど。


《上位種のモンスターは見つかりませんでしたが…》


「が?」


《代わりに気になる魔力反応を見つけました。》


「魔力反応?モンスターのものじゃなくて?」


《モンスターのものであればもっと禍々しい反応のはずなのですが…


そう言ったものは感じません。


この反応は人間ですね…。それも高位の…マスターよりも地位が高い人間のものです。》


この世界では位が高いほど生まれつき高い魔力を持って生まれてくる。


私よりも高いとなると限られてくるわけだけど…


「公爵令嬢よりも高い位って…それこそ公爵とか…王族とか…」


でも王族がこんなところにいる理由が分からないし…。


「とにかく行ってみるしかないのかもね…チエちゃん。そこまで案内してくれる?」


《はい。ナビゲートのスキルを取得しました。私の示す方へ進んで下さい。》


私はチエちゃんの案内で魔力反応がある場所へと向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


チエちゃんが案内してくれた場所までたどり着いた…んだけど


「あそこに倒れてる女の子が魔力反応の下…でいいんだよね?チエちゃん。」


《はい。場所的にそれで間違いないはずです。》


「……王族じゃん。てか王女様じゃん。」


髪色…服装…どっからどう見ても王族だった。


てかこの国の王女様…アリエール様だった。


なんでこんな森に…。


というかそんなことよりこの状況不味いよね…。


「…どうすればいいと思う?チエちゃん。」


《ここにおいておけば遅かれ早かれモンスターに食い殺されるでしょう。


ならマスターの家に連れていくのが賢明かと。》


「…まぁそうだよね。チエちゃん。転移のスキル取得できる?」


《はい。転移を取得しました。》


「ちょっと失礼して…転移!私の家へ!」


私は王女様に触れながら転移を発動する。


すると一瞬で自分の部屋へと移動することが出来た。


このスキル便利だけど人前で使うのは危なそうだよね…。


使う時は気を付けよう。


「よいしょ…っと」


とりあえず王女様を私のベットへ寝かせる。


みたところ怪我はないようだけど…。


何か黒い靄みたいなのがまとわりついてる…?


「チエちゃん。王女様が眠ってる原因分かる?この靄が原因なのは分かるけど具体的な奴!」


《解析鑑定を取得しました。そのまま使用します。》


チエちゃんのその声と共に目の前に突然青いパネルが現れた。


そこには王女様の名前と原因の欄に悪精霊の呪いと書いてあった。


悪精霊って言うのは何なんだろう…?


「チエちゃん。悪精霊って言うのは?」


《悪精霊って言うのは悪意に染まった精霊のことです。


悪いいたずらが好きでよく人間に魔法を掛けて遊んでいます。》


「なるほど…。解除方法は?」


《悪精霊の呪いは精霊の女王しか解除できません。》


「よくそんなこと知ってるね…。」


《私が調べることのできないことはありませんから。


なんせ叡智なので。》


「はぇぇ…すごいねぇ。とりあえずその女王を探すしかないか…。どこにいるの?」


《会うには精霊の国に行くしかないですね。


ただ…》


「ただ?」


《精霊の国の入口は秘匿されているんです。魔力反応が高い場所にあるらしいのですが…》


「それって…」


わたしはさっきの魔力反応のことを思い出す。


あの反応はずっと王女様の魔力だと思ってたけど…


「もしかしてさっきの場所の魔力反応ってさ…」


《はい。おそらく先ほどの魔力反応が精霊の国への入口だと思われます。》


「今から行くとして王女様はどうする?精霊の女王様にしか治せないけど今動かすのは…」


《少しまずいですね。安静にして貰わないといけませんし》


「そうだよね…」


《他の方法として女王に来てもらうという方法があります。》


「そんなこと出来るの?」


《調べたところ過去に事例があるそうです。その人間は異世界人だとか。》


「私は厳密には異世界人ではないけどね…まぁ可能性があるなら試すほかないかな。


チエちゃん行くよ。精霊の国へ」


《了解しました。転移します。》


「ってことで戻ってきたけど…どうやって入り口を出すの?」


《マスター。覚えた風魔術をあそこに向かって思いっきり放ってください。》


「試してみるね。エアゲイザー!」


チエちゃんに言われるがままに私は何もないところに向かって風魔術を撃つ。


すると何もなかった場所に裂けめのようなものが現れた。


そして奥から巨大な剣を持った人(?)が出てきた。


もしかしてこの人が…


「精霊の国の女王様ですか?」


『ほう…?貴様には俺のこの姿が女に見えるというのか…ふざけているな?』


「違ったかぁ…じゃああなた誰?」


『それは俺が聞きたいんだが…逆に聞くがお前は誰だ?何をしにここに来た?


返答によっては容赦はせんぞ?』


ずいぶんと警戒されてるみたいだね…。


まぁそりゃ正体も分からないただの小娘がいきなり縄張りに来たら警戒するよね。


「私はただ女王様に会いに来ただけですよ。」


『女王様に何の用だ。』


「チエちゃん。映像投影スキル取ってそのまま私の部屋の様子を映して!」


《了解しました。》


『何をブツブツ言って…ってうおっ!なんだこれ!』


スキルで映し出された映像に剣の人は驚いてるみたい。


まぁそりゃチエちゃんのスキルは現地の人からしたら驚きだよね。


「とりあえず話は後です。私はこの映像に映る女の子を助けるために女王に会いに来たんです。」


『エイゾウ…というのは分からんが…確かにこれは女王しか治せない悪精霊のいたずらだ。


なるほど…お前に悪意はなさそうだ。だが…』


「だが…?」


『それはそうとして実力は示してもらおうか。』


「…え?今悪意はないってわかったって言いませんでした?」


『言った。だがそれはそれこれはこれという奴だ。俺を倒せないやつをここから先に入れるわけにはいかない。』


「…何を言っても聞いてくれなさそうですね。


ならばその勝負受けて立ちます。


私が勝ったら王女様の下へちゃんと連れていってもらいますから」


『いいだろう。では始めようか。』


そう言って剣士さんは剣を構える。


私も剣を…ってあ、私剣ないんだった…。


とりあえず魔銃の応用で…できた!


私は即席で剣を作って構える。


「行きます!」


私と剣士さんの戦いが始まるのだった…。
















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